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第157回

2017年10月15日

有機農産物を1兆円市場へ最大手として成長を牽引する! 
オイシックスドット大地 代表取締役会長 藤田 和芳

DIAMOND Chain Store

自然派食品EC(ネット通販)のオイシックスと大地を守る会が経営統合し、2017年10月1日、新会社のオイシックスドット大地(東京都)が正式に発足した。新会社の年商規模は360億円で業界最大手となる。EC大手の参入など競争が激化する食品ECにおいて、新会社はどのように成長を図るのか。藤田和芳会長に聞いた。

聞き手=下田健司(本誌) 構成=野村光


トップ同士の交流が経営統合のベース

ふじた・かずよし●1947年岩手県生まれ。1975年に有機農業普及のためのNGO「大地を守る会」を立ち上げる。1977年に株式会社化し有機野菜の販売を手がける。大地を守る会代表取締役社長を経て、2017年10月オイシックスドット大地代表取締役会長就任

──オイシックスと大地を守る会が経営統合することを発表してまもなく1年が経ちます。両社はどんなことに取り組んできましたか。

 

藤田 2016年12月に経営統合の検討開始を発表し、17年1月から経営統合に向けて準備を開始しました。「Oisix」と「大地を守る会」の両サービスブランドは今後も継続させますが、配送や商品開発といった各部門で分科会を立ち上げ、経営統合のシナジーをできるだけ早く生み出すための準備を進めてきています。

 

──新会社で藤田会長はどのような役割を担いますか。

 

藤田 日々の経営については、高島社長が取り仕切ることになっています。私はどちらかというと対外関係や、従来の大地を守る会における生産者との関係強化や、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)活動などを担いながら高島社長をサポートしていきます。

 

──あらためて、両社が経営統合するにいたった経緯を教えてください。

 

藤田 高島社長とは親子ほどの年齢差があります。大地を守る会は創業42年目、オイシックスは創業17年目です。

 

 じつは高島社長がオイシックスを立ち上げようとした際、大地を守る会に相談に来たことがありました。そのときは、有機農産物の生産者の状況や消費者の意識、また経営で苦労したことなどについて話をしました。高島社長は食品ECのオイシックスを立ち上げ事業を拡大してきたわけですが、大地をも守る会をつねに業界の先輩として接してくれました。大地を守る会がイベントを行うと立ち寄ってくれたり、新しい物流センターを立ち上げた際はオイシックスの社員を引き連れて見学に来てくれたりしていました。私とは年に1、2度は食事をする付き合いがありました。

 

 両社の売上を単純合算すると約360億円となり、食品宅配市場における自然派食品宅配のナンバーワンになります。両社の強みを伸ばしながら、業界の中でリーダーシップを発揮し市場成長を牽引していこうという話になり、経営統合に至りました。

 

オイシックスのEC技術と大地の生産者ネットワーク

──経営統合にはどのようなメリットがありますか。

 

経営統合後も、「オイシックス」と「大地を守る会」の両サービスブランドは継続する

藤田 大地を守る会はカタログ販売、一方でオイシックスはECと、それぞれ主力とする販売方法が異なります。この販売方法の違いもあって、大地を守る会は40~50代以上の女性、オイシックスは30~40代の比較的若い女性がそれぞれコアのお客さまとなっています。両社の経営統合により、オイシックスを利用されている若いお客さまが40~50代になり生活にゆとりが生まれるころに、大地を守る会の会員になっていただくというコースも提供できるでしょう。

 

 ECについて言えば、大地を守る会はカタログ販売をメーンとしていますから、頑張ったとしてもオイシックスの技術に追いつくには2~3年かかるくらい、遅れています。ですから、両社が一体となることによってシナジーを創出できれば、大地を守る会のサービスにとっては大きなメリットとなります。

 

 一方でオイシックスは急速に成長している反面、会員増加に伴い将来的に農産物の調達力不足に陥るのではないかという課題がありました。その点、大地を守る会は42年の歴史の中で優れた技術を持つ農家とのネットワークを構築してきています。このネットワークを農産物の調達に活用すれば、オイシックスにとっては強力な成長エンジンになります。

 

──両社の契約農家の数はどれくらいですか。

 

経営統合により、オイシックスは1500に上る大地を守る会の契約農家を活用できるようになる

藤田 大地を守る会が1500、オイシックスが1200です。それぞれ、生産者との関わり方や契約基準は異なります。たとえば、大地を守る会、オイシックスともに、農産物の生産過程で使っていい農薬や資材の種類などを公表していますが、その基準は細部で違いがあります。この基準を踏まえたうえで、お客さまは大地を守る会、オイシックスそれぞれの商品を選んでいただくことになります。

 

 大地を守る会では30~40年以上契約を続け、後継者にうまく引き継ぎができている農家も多く、そうした農家とわれわれは強固な関係を築いています。もちろん、オイシックスにも優秀な農家がいらっしゃいます。オイシックスは、大地を守る会の生産者ネットワークを活用することが可能になりますから、農産物の調達の面で大きなメリットとなるでしょう。農産物の調達面だけでなく加工食品で共同開発ができると思っています。

 

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