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第155回

2017年10月1日

駅構内・駅ビル内への出店を強化し、駅利用者に豊かな食生活を提案する 
紀ノ國屋 代表取締役社長 堤口 貴子

DIAMOND Chain Store

1910年に創業し、東京都内を中心に高質食品スーパー(SM)を展開する紀ノ國屋。2010年に東日本旅客鉄道(東京都/冨田哲郎社長:以下、JR東日本)の完全子会社となった同社は、17年度から駅構内や駅ビル内への出店を加速している。17年5月、新社長に就任したJR東日本出身の堤口貴子氏に、今後の成長戦略を聞いた。

聞き手・構成=大宮弓絵(本誌)


3年で16店舗を出店へ、駅利用者の需要を取り込む

つつみぐち・たかこ●1969年生まれ。93年3月、早稲田大学第一文学部卒業。同年4月、東日本旅客鉄道入社。95年5月、ジェイアール東日本商事へ出向。2000年5月、東日本旅客鉄道 事業創造本部。07年4月、ジェイアール東日本物流出向。08年4月、東日本旅客鉄道 事業創造本部。16年6月、紀ノ國屋 取締役営業本部長。17年5月、現職。

──今年5月に社長に就任されました。

 

堤口 JR東日本では、おもに駅構内で展開する小売店や飲食店広告などの事業を開発・主管する仕事をしてきました。

 

 JR東日本は成長戦略の1つに「ステーションルネッサンス」を掲げています。一昔前は、駅構内といえば、立ち食いそばや「キオスク」などの売店くらいしかありませんでした。そこで、経営資源として「駅」の価値や役割を見直し、利用者が通過してしまうのではなく、集える場所になれるように再開発を進めているのです。近年では駅だけにとどまらず、駅が立地する街全体の活性化に取り組むことにより、地域とともに長期的な成長につなげようとしています。

 

 一方、紀ノ國屋は「食を豊かに、人生を豊かに」を経営理念としています。駅への店舗展開を通して、日常的に駅を利用されるお客さまに、食生活を軸とした新しいライフスタイルを提案していきます。その結果として、駅の魅力や価値を向上できると考えています。

 

──17年度に入ってから出店を加速しています。

 

堤口 JR東日本グループに入ってから約7年が経過し、経営状況が安定してきたこと、商品開発や売場づくりなどの環境が整ってきたことから出店強化に舵を切っています。16年度までは年間1店舗ほどの出店ペースでしたが、今後3年で16店舗を出店する計画です。1年目の17年度はその半数に当たる7~8店舗をオープンする予定で、1店舗1店舗を確実に軌道に乗せていくことを最優先で進めていきます。

 

──出店する場所についてはどのように考えていますか。

 

堤口 JR東日本グループ入りするまで紀ノ國屋はおもに路面店を展開してきましたが、今後はJR東日本の駅構内や駅ビル内をメーンに出店していきます。

 

 駅は幅広い方が利用する場所です。そのため、駅構内や駅ビル内に出店することでこれまで当社の店舗を利用していなかったお客さまを新たに獲得していきたいと考えています。

 

 駅構内や駅ビル内の店舗の場合、駅利用のついでに立ち寄るというお客さまがほとんどです。また、お客さまの買物にかける時間が限られています。こうした条件下でも需要を取り込んでいくためには、店舗の出入口の間口を広げたり、通路からでも目にとまりやすくわかりやすい売場づくりをしたりといった工夫が必要です。

 

 また、駅構内や駅ビル内以外にも、紀ノ國屋の客層と似ているという点から出店していきたいのが百貨店内です。これまでは東京都新宿区の「京王百貨店 新宿店」と「新宿タカシマヤ」の2店舗への出店のみでしたが、今年9月には「東武百貨店池袋店」にも出店しました。今後もさらに店舗数を増やしたいと考えています。

 

さまざまな店舗フォーマットで立地特性に対応

──駅構内と駅ビル内で、生鮮3品を扱う小型フォーマット「Daily Table KINOKUNIYA」の出店も開始しています。

 

駅構内や駅ビルに出店する新フォーマット「Daily Table KINOKUNIYA」は、小型ながら生鮮3品も取り扱う

堤口 16年3月、JR「吉祥寺」駅直結の商業施設「アトレ吉祥寺」内に1号店の「アトレ吉祥寺店」(東京都武蔵野市)をオープンしました。17年6月には2号店となる「西荻窪駅店」(東京都杉並区)をJR「西荻窪」駅構内に開店しています。

 

 アトレ吉祥寺店は、初年度の年商目標をクリアし、西荻窪駅店は開店から7月末までの売上が計画の約120%で推移しています。とくにオープンキッチンを設けて売場を広く確保した、総菜やインストアベーカリーがお客さまの支持を得ています。

 

 路面店は、充実した品揃えを提供してゆっくりと買物を楽しめるようにしているのに対して、「Daily Table KINOKUNIYA」は駅を利用するついでに立ち寄り、短時間で買物ができる利便性が特徴です。

 

 アトレ吉祥寺店の場合は、店舗から北西約600mに路面店の「紀ノ国屋吉祥寺店」があります。アトレ吉祥寺店のオープン後も路面店の売上にほとんど影響はなく、うまくすみ分けができています。

 

 紀ノ國屋は高齢のお客さまが多いのですが、「Daily Table KINOKUNIYA」への来店をきっかけに若い世代に当社の魅力を知ってもらい、ほかの紀ノ國屋の店舗も利用してほしいと考えています。

 

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