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2017年9月1日

『アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える』
アンドレアス・ワイガンド 著
(文藝春秋/1800円〈本体価格〉)


 「21世紀の最も重要な資源は情報だ。情報はいわば新たな時代の石油である」──。

 

 企業がデータを収集し、分析することの重要性を説く本書は、こう始まる。

 

 著者のアンドレアス・ワイガンドは米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com:以下、アマゾン)の元チーフ・サイエンティストで、創業者のジェフ・ベソスとともにアマゾンのデータ戦略を策定してきた人物だ。

 

 本書では、その彼がどのようにして今日のアマゾンの基礎となる、顧客にとって使いやすいプラットフォームを構築したのかが書かれている。

 

 たとえば、アマゾンは企業によるデータ活用の「常識を逆転させてきた」と指摘する。そのうちの1つが製品レビューである。従来、ネット通販では、社内の編集者がレビューを書くのが当たり前だった。それをアマゾンは、経営理念でもある「顧客を中心にモノを考える」視点から、実際に商品を購入した消費者のレビューに置き換えた。そのほうが、顧客満足度が高いとわかったからである。

 

 さらに、従来型の人口動態に基づくプロファイリングと、個人のクリックに基づくおすすめ商品では、どちらのほうが購入に結びつきやすいのか、という実験も行った。その結果、アマゾンでは、人口動態に基づくプロファイリングは行わず、検索履歴からおすすめ商品を提示するようにしている。

 

 このほか本書は、毎日100億回以上利用される検索エンジンを持つ米グーグル(Google)や、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を運営する米フェイスブック(Facebook)、配車サービスを提供するウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)といった「巨大データ企業」の成功の秘訣に迫っている。

 

 今後、人工知能やセンサーなどの技術が発達し、これまでにないデータが手に入るようになる。顧客ニーズをつかみ、マーケティングやマーチャンダイジングを行ううえで、データ分析の果たす役割はますます大きくなるだろう。

 

(『ダイヤモンド・チェーンストア』2017年9月1日号掲載)

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