ホーム   特集&連載    DRMオンライン・ピックアップ    ブックレビュー 
記事タイトルバナー
2017年8月1日

『新版 安売りするな!「価値」を売れ!』
藤村正宏 著
(日本経済新聞出版社/1400円〈本体価格〉)


 「たった5年で、世の中が異次元のように変わった。もしあなたがそう感じていなかったら、時代に合わなくなっている可能性があります」──。著者は冒頭でこのように読者に投げかけている。

 

 本書は2011年12月に出版した『安売りするな!「価値」を売れ!』(実業之日本社)の新版である。「安売りするのではなく、顧客にどように商品価値を伝えるのか」をーンテーマに、マーケティング手について書いている。ここ5年間社会が激変し、マーケティングあり方も大きく変わったため、新版では約8割の内容を書き直したという。

 

 著者が注目している最も大きな変化は、スマートフォンやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の普及により、個人が簡単に情報発信することが可能になったことである。このようにSNSが当たり前になった時代のマーケティングのキーワードとして、「関係性」、「個」、「好き」、「編集」、「逸脱」の5つを挙げている。

 

 たとえば、「関係性」について、商売繁盛には「ゆるやかな関係性」を築くことが大事であるという。そのためには、ツイッターやフェイスブックなどのSNSで発信することにより、「忘れられない存在」をめざすことや、売り込みではなく「情報」を発信することで「共感」してもらえる企業になること、などがポイントであると説明する。

 

 さらに、マーケティングの成功事例もいくつか挙げている。「逸脱」をキーワードにした事例では、大阪府堺市にあるドラッグストア「ハッピー薬品」を取り上げる。ハッピー薬品はこれまでとくに特徴のないドラッグストアだったが、創業20周年を機に、橋本亨社長が大好きなハワイを店舗のコンセプトとして取り入れた。ハワイの別荘のような内装に、従業員は全員白衣ではなくアロハシャツで、取扱品目数はたったの8アイテムしかない。安売りを一切せずに定価で販売しているが、顧客数は増え、業績も好調に推移しているという。

 

 著者は、「『売れる商品』はない。『売れる売り方』があるだけ」と強調する。社会が激変している今、マーケティング方法も日々変化しているのである。

 

(『ダイヤモンド・チェーンストア』2017年8月1日・15日号掲載)

Special topics