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2017年8月21日

最終回
パート・アルバイトが定着する職場づくり

 今回までの5回で、人手不足環境下におけるパート・アルバイトの採用上のポイントについてご紹介いたしました。「応募数・面接数など採用の実態を可視化すること」「面接設定率が重要であること」「求人広告ではない自社媒体を重視すること」「採用業務のセンター化(機能集約)が効果的であること」など、企業が見過ごしがちな採用上の改善点を紹介しましたが、最終回の今回は、採用した従業員にいかに長く活躍いただくかという、「定着の取り組み」をご紹介します。

 

~定着がより重要になる~

 

 小売・外食などの店舗サービス業の総労働人口(正社員・パートなど全労働者の人口)は、高齢パートの離職などにより、今後10年間で約200万人の減少(2016年総労働人口1070万人)が推定されています。(総務省の人口動態調査をもとに弊社試算)

 

 この労働者減を補うため、IoT・AIの活用等による省人化の取り組みも進んでおりますが、それだけで200万人分の欠員を解消することはハードルが高く、今後さらなる採用競争激化も予想されます。

 

 その中で注目されるのが、定着への注力です。一人当たりのパート採用に係る費用が現在でも全国平均で5万円まで上昇している中、定着へのフォローを行う方が、よっぽど低コストで人材を確保できる施策となるためです。

 

~定着率の高い職場の共通点~

 

 業種や地域、企業の実態により異なりますが、定着力の高い職場には3つの共通点があります。

  • ① 早期離職が少ない
  • ② 一人当たりの労働時間が少ない(頭数が多い)
  • ③ 退職率の低い人材層を採用している

 それぞれについて、ポイントと対策をご紹介いたします。

 

~① 早期離職が少ない~

 

<入社1ヶ月時点アンケートの例(スマフォ回答画面>
拡大画像表示

 パートタイマーが早期に離職してしまう場合、まずその離職時期を把握することが大切です。早期離職には、入社2週間未満、3か月未満、1年未満と3種類の離職があり、それぞれ効果的な対策が異なるためです。2週間未満の離職は「採用ミス(お互いの認識不足)」、3か月未満は「職場のフォロー不足」、1年未満は「報酬」や「職場の人間関係」を理由とした離職が多くなります。関東の食品スーパーA社では、3か月未満の離職率が高く、新人パートへのフォロー役の任命や入社1ヶ月時点でのアンケート実施などにより、離職率を1/10に抑制することができました。また入社半年時点での離職率の高かった専門店B社では、評価・報酬制度の整備が効果的な施策となりました。パートの定着率は、学生を除き、勤続1年を超えると一気に安定します。入社1年未満の離職の傾向を店舗・職場単位で把握し、実態に合わせたフォロー策を実施することがポイントです。

 

~② 一人当たりの労働時間が少ない(人数が多い)~

 

 かつての買い手市場の時代には、フリーターなどの長時間パートを確保し、少人数で職場を運営することが可能でした。しかし、売り手市場化により、長時間勤務が可能なパートは減少しています。長時間パート主体の職場は、短時間で勤務曜日に制約があるパートは居心地が悪いため、新規入社者の定着率は高まりません。入社者が定着しなければ欠員し、よりシフトの融通のつきにくい悪循環が続きます。戦力上も長時間パートでの運営は効率的ですが、現労働環境にあわせた体制作り、働く制約のある方を大人数確保し、皆で可能な範囲の協力を行いながら運営する職場の方が、当社の顧客企業においても結果的に定着率が高くなっているのが実態です。

 

~③ 退職率の低い人材の採用~

 

 3点目は当たり前のことですが、そもそも退職しない層から採用することが重要ということです。

 

 当社では2つの視点から、「退職しにくい層」を割り出しています。一つは性格的な組織とのマッチ度、二つ目は応募経路による分類です。

 

 採用面接時に簡易の性格検査を実施し、そのタイプを把握することで、職場にマッチした人材かどうかを把握します。客観的なツールを用いることでミスマッチ入社は大きく回避できます。

 

 また応募経路による分類は、如実に定着率が分かれるポイントです。一般の求人広告を見て応募したパートに比べ、自社媒体(自社サイトや店内ポスター、パートの友人紹介など)から応募したパートは2倍近い定着率があります(2016年当社顧客実績平均)。採用上も自社媒体に力を入れることの重要性をご説明しましたが、定着上も自社媒体に力を入れ、自社媒体からの応募者を増やして採用することは、きわめて重要な施策です。

 

 以上、6回にわたりパート・アルバイトの採用・定着についてポイントをご紹介しましたが、採用においても定着においても、重要なことはまず自社の実態を職場単位で把握すること、そして検証を重ねながら、実態に合わせた手を打ち続けることです。これからも人手不足の労働市場環境は続きます。基礎的な取り組みも、スタートするのに遅すぎることはありません。ぜひご紹介のポイントに留意いただき、採用力と定着力のある安定した職場づくりにご活用いただけましたら幸甚です。

 

 

株式会社ベクトル
■創 立 2003年6月
■E-mail info@vector-up.com
■URL http://www.vector-up.com/

谷 智史(たに さとし)
採用支援事業部 執行役員

 大手ゲーム会社で、人事(採用・教育)を担当後、2011年よりベクトルに転職、スーパー・飲食・ドラッグストア・アパレル等、多くの企業の採用を支援。

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