ホーム   特集&連載    DRMオンライン・ピックアップ    ダイヤモンド・チェーンストアThe Interview 
記事タイトルバナー

第152回

2017年8月1日

独自性のある調味料を開発し 生鮮品の需要拡大に貢献する! 
エバラ食品工業 代表取締役社長 宮崎 遵

DIAMOND Chain Store

時代に適合した価値を生み出し確実に収益をあげるエバラ食品工業(神奈川県)。主力商品である焼肉のたれ「黄金の味」はもちろん、小容量・個食ニーズに対応したポーション調味料も売上を伸ばしている。創立60周年に向けた5カ年の経営ビジョン「Evolution 60」を掲げる同社の成長戦略について宮崎遵社長に聞いた。

聞き手=下田健司(本誌) 構成=室作幸江


家庭に焼肉を定着させた新調味料「焼肉のたれ」

みやざき・じゅん●1963年5月15日神奈川県横浜市生まれ。87年明治学院大学文学部卒業、エバラ食品工業入社。2004年経営企画室長。06年執行役員就任マーケティング本部長。09年執行役員経営統括本部副本部長。11年執行役員マーケティング部門担当。11年取締役就任マーケティング部門担当。12年代表取締役社長。15年代表取締役社長マーケティング部門および研究部門担当。

──看板商品である「焼肉のたれ」の開発のきっかけを教えてください。

 

宮崎 当社は、業務用のソースやケチャップ、ラーメンスープなどを製造・販売する会社として1958年に創業しました。高度経済成長期を迎えた60年代後半頃より、焼肉が外食として人気を集めるようになったことから、創業者である森村國夫が「焼肉を家庭に持ち込めないか」と考え、「焼肉のたれ」を生み出しました。開発にあたり、森村はお客さまに喜ばれる味を求めて、東京・横浜を中心に何十軒もの焼肉店を試食して回ったといいます。試行錯誤の末ついに、肉になじむ醤油ベースの「焼肉のたれ」が完成し、68年に発売しました。

 

──発売以来、「焼肉のたれ」が順調に売上を伸ばしてきた要因は何ですか。

 

宮崎 4つのポイントが挙げられます。まず、ホットプレートの登場と普及です。これによって、ご家庭でも手軽に焼肉が楽しめるようになりました。

 

 2つめは、食品スーパー(SM) さまと総合スーパー(GMS)さまの台頭と広域化です。当初、精肉店の店頭で「焼肉のたれ」を発売していましたが、試食販売を積極的に行ったことで評判を呼び、発売翌年の69年にはSMの店頭にも並ぶようになりました。その後、SM とGMSが全国的に広がるにつれ、「焼肉のたれ」の販路も拡大していったのです。

 

 3つめは、「焼肉のたれ」にはエリア性があまりなかったことです。醤油や味噌といった基本調味料にはその土地ならではの味があるため、エリアごとの対応が必要になってきます。しかし、「焼肉」をはじめとする戦後生まれのメニューには、そうした地域性はほとんどないため、全国拡大が比較的容易だったのです。

 

 4つめは、牛肉の普及です。70年代から牛肉の普及が進み、その後も輸入自由化によって価格の安い輸入牛肉が多く出回るようになりました。その結果、焼肉は家庭料理として定着していき、焼肉のたれのニーズも高まりました。

 

 つまり、時代の流れが追い風になったということでしょう。また、テレビCMを集中投下し、一気に認知拡大を図るという施策も後押ししたと言えます。

 

──主力商品である「黄金の味」は、どのようにして誕生したのですか。

 

宮崎 「焼肉のたれ」の発売によって、焼肉のたれ市場は急速に拡大し、調味料メーカーが次々と参入してきました。当社の「焼肉のたれ」は圧倒的なシェアを誇っていましたが、全国的に見ると西日本では苦戦を強いられていました。というのも、「焼肉のたれ」はどちらかというと豚肉に合う醤油ベースの味だったため、古くから牛肉文化があり、甘めの味わいを好む西日本ではなかなか受け入れられなかったのです。

 

 そこで78年に開発されたのが、リンゴ・モモ・ウメの3種のフルーツをベースにした「黄金の味」です。果物を使うことで、さわやかな甘さはもちろん、肉との絡みがよい“とろみ”も生まれました。「焼肉のたれ」に比べて高価格だったにもかかわらず、「食」の高級化を迎えた消費者ニーズに合致し、ねらいどおり西日本でも大ヒット商品になりました。その後、東日本にもエリア拡大し、当社の発展を支える基幹商品へと成長しました。

 

──焼肉のたれ以外にも、さまざまな調味料を発売しています。

 

宮崎 焼肉のたれのイメージが強い当社ですが、実は鍋まわりの商品の売上も大きな割合を占めています。すき焼きやしゃぶしゃぶ、キムチ鍋などの調味料ですね。「すき焼のたれ」は「焼肉のたれ」を発売した翌年、69年に発売しました。当時、家庭のすき焼きといえば、砂糖・醤油・みりんで味付けするのが一般的で、家ごとに「わが家の味」があったことから、発売当初はなかなか売れ行きが伸びませんでした。

 

 しかし、80年代後半からすき焼き以外にも使えることを訴求し、肉じゃがなどのメニュー提案をしたところ、需要が拡大し、秋・冬の季節商品から年間商品へと変わりました。働く女性が増え、調理の時短・簡便化が進む現在では、和風万能調味料として幅広くお使いいただいております。

 

DRM online 関連記事

Special topics