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2017年7月26日

第5回
店頭業務のアウトソーシング活用具体例(2)
<店舗フォローにアウトソーシングを活用し時間と経費を削減>

 ここ数年小売業の広域化が進んでいる。特にドラッグストア業界ではその傾向が著しく、北海道や中部を拠点としている企業が全国展開を進める、九州を拠点としている企業が西日本全域に店舗を拡大するなどの事例が見られる。そうした大規模な出店拡大ではないが、近隣の他府県へと出店を進めている企業も多い。

 

 また、ホームセンターにおいては、ドラッグストア同様、単一企業の出店エリア拡大と同時に、グループ化による広域化も進んでいる。

 

 一方で、メーカー、卸は事業所の統廃合(集約)が進み、遠隔地の店舗フォローは出張での対応が増加している。さらに、商談窓口となっている事業所が売上予算を管理しているため、店舗フォローが必要な場合は、商談窓口となっている事業所から全て対応しているというケースが多く見られる。

 

 メーカーA社の関西事業所では、取引先小売業の広域化に伴い、中国四国エリアでの店舗フォローが必要となってきた。繁忙期における担当セールスB氏は、月曜日は会社に出社するが、火曜日から金曜日までは出張での店舗フォローを余儀なくされ、移動のための交通費、宿泊費だけでも一ヶ月で20万円近くかかる月もあった。B氏の活動経費を見かねた上司がアウトソーシングを検討し、店舗フォロー業務を全て外部に委託することとした。図表①と②は、一ヶ月間で同数の店舗フォローを行った際のアウトソーシング活用前後のコストを比較したものである。現地スタッフでのアウトソーシングを活用してみたところ、これまでの経費分でアウトソーシングにかかるコストをほぼまかなうことが出来ている。さらに、社員の人件費を時間給で試算した場合、大幅なコストダウンに繋がっている。(時間給の試算は当連載の第2回参照)

 

図表①セールスが店舗フォローを行っていた際のコスト

  費目 内訳 金額
1 社員活動経費 交通費、宿泊費など 198,650
2 社員人件費 @2,806円×90時間 252,540
合計     451,190

図表②セールスと同様の店舗フォローをアウトソーシングした際のコスト

  費目 内訳 金額
1 スタッフ活動経費 交通費など 25,200
2 業務委託費   180,000
合計     205,200

 

 また、アウトソーシングを活用することによって、劇的に変化したのが、セールスの業務種類別の時間である。

 

 図表③はアウトソーシング導入前後の種類別業務時間の変化を整理したものである。まず、残業時間が大幅に減少している。これまで休日出勤や出社時の長時間労働でまかなっていた時間を平日の所定労働時間内にシフトすることが出来たからであり、残業時間の減少は大きなコストダウンだと言える。

 

図表③セールスB氏の業務時間の変化(1ヵ月間)/単位:時間

  Before After
商談 45 120 +75
社内業務 30 38 +8
移動 60 15 ▲45
店舗フォロー作業 100 20 ▲80
総労働時間 235 193 ▲42
所定外労働時間 67 25 ▲42

 

 また、商談に関わる時間(商談資料の作成及び実際の商談に関わる時間)が大幅に増加している。セールス本来の仕事である売上拡大のための営業活動に時間を費やすことができる環境に改善されたとも言える。

 

 今回のアウトソーシング活用についてA社の営業担当管理職からは、

「これまで会社にほとんどいなかった担当セールスが社内にいる時間が多くなり、コミュニケーションが取れるようになった。現状の仕事の状況、悩んでいることを聞き、アドバイスが出来るようになっている。そして何よりも、残業時間が減少したことが良かった。働き方改革という名のもとに長時間労働の是正が求められており、どうにかしないといけないと悩んでいたことも解消されつつある。」

とコメントをいただいた。

 

 次回最終回では、「アウトソーシング活用成果を最大化するためのポイント」を紹介する。

 

 

<著者プロフィール>

フィールドマーチャンダイジング(FMD)研究会
細野英一郎(会長)・石野真博(事務局長)

 小売業における店頭販促支援、商品陳列などのフィールドマーチャンダイジング(FMD)業務を、メーカーや卸に代わって実施する事業者8社が集まり、2016年1月設立。
 設立の目的には、同研究会に加盟する各事業者が法令を順守し、従事するスタッフの価値や技術を高めることで、アウトソーシングしやすい『安心して任せられる仕組みづくり』を整備することを掲げている。
 スタッフの陳列スキルアップに向け、加盟各社のノウハウを集めた陳列マニュアルを整備し、スタッフ教育を実施。現場でのキャリアやスキルを基準としたFMD陳列士という資格制度を導入し、既に全国で150名の陳列士が活躍している。

 

【FMD研究会】 https://www.fmdkkk.com/

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