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2017年5月8日

第2回
コスト削減にイノベーションを起こす5Sというコンセプト

 前回、コストマネジメント4.0の概要を説明した。これまでのコスト削減との違いは『分析』や『単価比較』だけでなく『条件や仕様・BPR』まで踏み込み、なおかつ成果を実現し、長期にわたってその実現を調査することである。

 

 言葉にするとこれだけの違いであるが、実際にこれまでの手法と異なるコストマネジメント4.0を実行するには、様々な障害や摩擦が出てくる。

 

 そのような難易度の高いコンサルティングを実現する上で必要となる概念が「CONCEPT 5S」である。

 

コストマネジメントにおける「CONCEPT 5S」

PRORED
COST
MANAGEMENT
4.0
 
「CONCEPT5S」
DESIGN PHASE SANCTUARY コスト削減の聖域:範囲/サプライヤー/エリア/事業
SURVEY 分析(QBSR分析/原価計算)/仕組み・状況の把握/市場相場や動向
SPEED プロジェクトの優先順位/迅速な対応/コストマネジメントのサイクル
ACTION PHASE
STANDARDIZATION 仕様の標準化・見直し/契約条件の変更/ベストプラクティスの横展開
SIMPLIFICATION 仕様・サービス・業務フローを簡素化/集約・分散/全体最適化

 

 5Sというのは「SANCTUARY(聖域)」「SURVEY(調査)」「SPEED(スケジュール・サイクル)」「STANDARDIZATION(仕様の標準化)」「SIMPLIFICATION(簡素化)」の頭文字を取ったもので、コストマネジメントを実行する上で事前に理解しておくべきフレームワークである。

 

 今回は、その中でも最も重要なSANCTUARY(聖域の特定)を取り上げる。

 

 『聖域なき改革』 - いくつかの政治局面で使い古された言葉であるが、実際、企業のコンサルティングにおいては様々な聖域が厄介な障害となり、プロジェクトの成否を分けてきた。一方で過去にハゲタカと言われる一部のファンドが実行した『極端な聖域なきコスト削減』も実行してはならない手法であり、現実的にそのような手法がうまくいった例は一つもない。

 

 では「聖域」をどのように捉えればよいのだろうか。

 

 まず企業の「聖域」を、範囲・サプライヤー・エリア・事業の4つにカテゴライズする。

 

SANCTUARYの対象

範囲 どの範囲を対象とするか、原価や研究開発費まで対象にするのか
サプライヤー 相互取引、長期間取引、株主、人的関係するものついてはどうするか、事業へのインパクトはどの程度あるか
エリア 全国を対象にするか、海外も含めるか、エリアで対応が異なるか
事業 祖業も対象とするか、成長事業はどうするか

 

 例えばサプライヤーは、当然、自社の顧客も入れば長い付き合いの企業もある。また、範囲においても、直近の売上に影響する原価や将来の売上に影響する研究開発費にまで手を入れるのか、人件費まで対象にするのかを真剣に検討しないと、コスト削減で利益は出ても、将来の企業価値を毀損してしまうことになりかねない。

 

 そのため「聖域」という言葉を曖昧にとらえ、対象を安易に小さくしたり大きくしたりするようなことがあってはならない。

 

 つまり「聖域」を冷静に客観視し、状況把握することが非常に重要である。

 

 具体的な「聖域」の一つにサプライヤーとの相互取引がある。例えば金融機関は、融資先企業のコスト削減に踏み込まないのが通例であったが、コスト削減による現状の取引金額や収益に対するインパクト、今後の取引金額への影響などを見極め、実行する必要が出てくるだろう。また長い付き合いがあるサプライヤーに関しても、その関係性が具体的にもたらすメリットを金額換算するなどして、長い付き合いとなっている理由を突き止める必要がある。ここでも、どれだけ客観的に聖域を俯瞰できるかが重要になってくる。

 

 最後に、聖域において最も重要なファクターは、トップや役員陣が聖域に対してどれだけ真摯に向き合えるかという点である。過去の成功したプロジェクトは、全てトップと役員が意思決定に関わり、その意識を現場まで浸透させていた。

 

 そのため、担当者がコストマネジメントを実行する場合は、必ず事前にトップや役員陣の聖域に対する意識改革を行っておくことが必須になってくる。

 

 次回は、コストマネジメントにおいて新しい分析手法であるQBSR分析について、具体的な事例を交え解説していく。

 

 

株式会社プロレド・パートナーズ 

 

 『ターンアラウンド(企業再生)』『エネルギー・間接材のコストマネジメント』『CRE戦略』に強みを持ち、完全成果報酬にてコンサルティングを手掛ける国内唯一の戦略コンサルティングファーム。
 クライアントは、食品スーパーやドラッグストア等の小売業をはじめとして、流通、製造業、学校法人や銀行など、上場企業や大手企業が中心。PEファンドからの依頼も多く、企業の収益力向上に貢献している。
 コストマネジメントにおいては、間接材(人件費研究開発費を除く)だけでなく、直材までカバーしており、1,000社以上の実績がある。

 コーポレートサイト:http://prored-p.com/

 

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