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第1686回

2017年1月26日

コスモス薬品 5年後には北関東に攻勢

千田 直哉

 コスモス薬品(福岡県/宇野正晃社長)は、2017年5月期第2四半期の決算を発表した。

 売上高は2470億4400万円(対前期比14.1%増)、営業利益は118億8000万円(同29.8%増)、経常利益は130億4300万円(同28.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は86億8300万円(同41.5%増)の2桁増収2桁増益だった。これで同社は1991年に決算期を変更して以降、26期連続の増収。各利益は過去最大を確保した。

 以下では、決算発表会見場での柴田太取締役経営企画室長の発言をまとめた(文責・千田直哉)

 

「個人消費が弱含みの中で、当社の低価格志向が支持された。西日本の第1四半期はラニーニャ現象の影響で西日本は久しぶりの猛暑となり売上、粗利が大きく伸びた」

 

「単純化、標準化、平準化を推進し、EDLP(エブリデー・ロー・プライス)を実践している。日本の小売業のほとんどは、日替わり商品の赤字販売やポイント2倍セールなどを実施していながら、EDLPを標榜している。けれども、当社は完全EDLPだ。しかし、完全EDLPの導入初年度は既存店舗が大きく凹んだ。ところが2年目以降は、消費者に認知され、今期の決算の既存店舗は対前期比4.2%成長(客数同2.6%増、客単価同1.5%増)だった。EDLPは売上の波動をなくす。POPや陳列移動、レジが売価を確認する必要もなくなる。販売管理費を削減した分を原資にさらに低価格で販売する。それが好循環で回る」

 

「完全EDLP導入当初は1年近く苦戦を強いられた。メーカーからの協力を得られないことも多々あった。しかし、当社のEDLP政策を理解してくれ、協力してくれるメーカーは徐々に増えてきた。まだ、ご協力いただけないメーカーも多々あるので一生懸命要請している。売上の5割以上を占める食品ではさらにEDLPを強化したい。雑貨や化粧品のメーカーにも協力を要請している。売上総利益は売上高が大きく伸長したことが貢献、また率が改善したこともあり、大きく予算を超えた。販売管理費は、当初の見込みよりも4億円オーバーしたが、売上が堅調なので仕方ない。その結果、営業利益は同約3割増となった」

 

「第2四半期期間中は、中部に1店舗、関西に4店舗、中国に11店舗、四国に5店舗、九州に20店舗の合計41店舗。それに4店舗を閉鎖した。11月末現在の店舗数は中部5店舗、関西68店舗、中国120店舗、四国90店舗、九州492店舗の合計775店舗を展開する。下期は、九州の出店数は10店舗程度。中国・四国で20店舗と関西で20店舗を計画する」

 

「九州は2015年度に48店舗を出店、前期は40店舗、今期は30~35店舗を開業する計画だ。徐々にペースは落ちている。たぶん九州は600店舗の展開が限界だろう。中国・四国は1年間で30店舗の出店ペースを維持。関西と中部に次の3~5年間は九州の出店分を振り分ける。関東は5年後を目処に北関東の出店から始める。まだスタート前の段階。始めたら一気にシェアを取りに行く。当社の出店ペースは全店舗数の1割と決めているので、5年後は年間で150店舗は出店している見込みだ。北関東へはそのうちの数10店舗が出る予定だ」

 

「プライベートブランド(PB)は2013年度には約400SKUを展開していた。2016年度の第2四半期は264SKUで売上構成比3.7%。2017年度第2四半期は276アイテムで同3.9%。《ON365》のPBは減少傾向にあり、留め型商品が増えている。PB開発にとくに目標設定はない。良いものをより安くという方針だけだ。ナショナルブランド(NB)には価格縛りがある。当社はドラッグストアなのでH&BC(ヘルス&ビューティーケア)でも高品質低価格を実現したい」

 

「価格競争という点では九州が日本一の激戦区だと思う。実際、所得水準は相対的に低く、市場価格は一番低い。平地が多く、土地代も安いので、ローリスク・ローコストで出店することができる。関西は人口密度に厚みがあるにもかかわらず売価は総じて高い。そして、こんな厳しい環境で鍛えてもらったことが自信になっている」

 

「地域商品は重要だと認識している。九州出身の当社は、中国でも四国でも和日配や酒類などの地域商品の調達に苦労してきたからだ。小さな規模の小売業が地域に根を下ろすメーカーと取引をスタートさせるのは難しい」

 

「人手不足だ。正社員の定期採用ではもともと大学生の採用が少なかった。宮崎に本部があったころには福岡県の学生さえ採用できなかった。関西、中部で70店舗を展開するに至った現在は、関西の学生が全体の3割を超えた。関東出店は人材獲得の意味でも重要だし、そこに関東進出の意味もある。一方、パートの場合、一番取りにくいのは、外食もコンビニエンスストアも深夜の時間帯だ。当社の営業時間は10時~21時で今後延長する予定もないので、他社との比較では人手不足は少ない。人気がないといわれる流通業界野中では、採用はかろうじてなんとかできている」

 

「店長についてお話しすると、店長の属人性に起因する店舗間格差をなくすことを心がけてきた。そのために店舗規模を600坪で標準化し、店舗運営マニュアルをしっかり整備した。店長に求められるのはマニュアルを理解して運営することだ。いつだれがどこでやっても同じようにできる。これが熊本地震のときに威力を発揮した。被災地の店舗の店長は被災者でもあるため連日クタクタだった。そこで福岡の店舗から店長をヘルプで派遣した。福岡の店舗と何も変わることなくオペレーションに終始することができた」

 

「店長10~15人を束ねるエリア長がチェック機能を担う。エリア長の仕事もマニュアル化しており時間帯に応じてチェックしている」

 

「調剤の取り扱いについては、薬価の毎年改定など動きが出てきた。将来は必ずやりたいと考えているが、近々ということではない。もっと面分業が広がったときがチャンスだ。もう一段の制度変更があり、処方箋1枚あたりの利益率が下がり、ワントゥワンの体制が崩れたときこそ、一気に参入する」

 

「M&A(合併・買収)は、当社には店舗の標準化というテーマがあるので難しいだろう。それぞれの企業に文化があり、融合するにも時間もかかる。買いたい案件もない。将来的には絶対とはいえないが、当面はありえない。600坪のメガドラッグストアを展開しているのは当社だけ。コスモス薬品の店舗で日本国土が飽和状態になるまで出店を続ける。海外進出に乗り出す時間もない」

 

「コスモス薬品が上場した2004年。上場のキャッチコピーのひとつは『曲がり角を曲がったドラッグストア業界 その中にあって遅れてきたドラッグストア企業』だった。ドラッグストア業界はとっくの昔に曲がり角を曲がっている。そしてオーバーストアの中でも勝ち残れるビジネスモデルが当社だという自負がある。競争力のある店舗をつくれれば、人口のシュリンク以上にコンペティターのシュリンクのほうが大きいと見ており、残存者利益もある。だから消費者に受け入れられることが第一だ」

 

「寡占化が進んだとされるコンビニエンスストア業界でもいまだコンペティションは終わっていない。ドラッグストア業界は、そこから見ればまったく寡占化は進んでいない。しかも5年や10年では寡占化にはならない。15年後まで現在の5~6社の大手が競い合っているかどうかはわからないが、大手企業同士のコンペティションは永遠に続くだろう」

 

「なお、当社の2017年5月期の通期の売上高は4900億円(同9.6%増)、営業利益187億円(同0.3%増)、経常利益207億円(同0.0)、親会社株主に帰属する当期純利益135億円(同8.6%増)を計画する」

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