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2016年12月16日

農林水産物・食品の輸出で海外市場の販路を拡大 
輸出額1兆円に向けた戦略的な取り組みが本格化

 人口減少や高齢化といった社会の変化は、国内の消費市場にも密接につながってくる。農林水産物や加工食品など生活に不可欠な“食”における国内市場にも同様のことが言える。
国内市場の縮小が見込まれる中、農林水産物の生産者や加工食品業者にとって将来有望なのは輸出拡大だ。農林水産物や食品の輸出額は2013年から3年連続で過去最高額を更新し、2015年には7,451億円を達成。2019年には輸出額1兆円まで到達することを目標に、官民挙げて輸出力強化に向けた戦略的な取り組みが本格化している。

 

 

■日本産の農林水産物に「高品質、安全・安心」が定着

 

Aglien 代表 坂井紳一郎 氏
【プロフィール】
1976年4月 ホクレン農業協同組合連合会入会 株式会社ホクレン通商常務取締役 2011年3月 ホクレン農業協同組合連合会退職 12月 福岡農産物通商(株)(現・九州農産物通商(株))代表取締役  2013年7月JETRO農林水産部 専門家 10月 福岡農産物通商(株)(現・九州農産物通商(株))代表取締役退任 貿易コンサルティングAglien代表 2016年 社団法人北海道総合研究調査会 特別研究員

 輸出に早くから着手し、市場を切り拓いてきた例に製造業があげられる。日本が輸出してきた工業製品の品質の高さは、日本製=高品質の評価を定着させた。今ではさらにサービス業にも高品質というイメージが広がっている。

 

 農業関連法人のトップを務め、農林水産物や加工食品の輸出にも携わるなど幅広い知見を持つAglien代表 坂井紳一郎 氏は「日本の農林水産物や食品は高品質で安全、さらに美味しいというイメージが海外では定着してきている」と、日本産農林水産物の優位性を強調する。そこで注目したいのが、日本から距離的に近く、人口の増加が続いているアジア地域への輸出拡大だ。

 

■農林水産物輸出額の8割を占めるアジア市場が有望

 

 アジア地域は日本の農林水産物にとって“未開の地”というわけではない。農林水産統計で2015年の輸出実績をみると、第1位は香港で1,794億円(対前年比33.5%増)、2位が米国の1,071億円(同14.9%増)、3位は台湾の952億円(同13.8%増)となっており、以下は中国839億円(同35.0%増)、韓国501億円(同22.5%増)、タイ358億円(同3.1%増)、ベトナム345億円(同18.0%増)とアジア各国が続く。(図表1参照)

 

■主な輸出先国別の輸出額及び主な輸出品目(2015年度)        (※単位:億円)※農林水産省資料より作成
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 上位10か国・地域のうち米国、豪州、オランダ以外はすべてアジア地域である。農林水産統計には農林水産物だけでなく加工食品や飲料、たばこ、真珠なども含まれているが、輸出額全体の8割を占めるほど、アジア地域への輸出が好調なのは明白だ。

 

 坂井氏は「アジア地域では人口が増え続けており、2050年には50億人を超えると予想されている。それだけ市場も拡大し、日本の市場縮小を十分にカバーできる魅力的な市場になる」とみている。その一方で、アジア地域の市場開拓に課題がないとは言い切れない。

 

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