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第1675回

2016年11月9日

GUの成長戦略

千田 直哉

ファーストリテイリング(山口県/柳井正社長)傘下のジーユー(東京都/柚木治社長)が好調だ。2016年10月に10周年を迎えた柚木治社長のインタビューをお届けする。柚木社長といって思い出されるのは2002年に新設したエフアールフーズだ。「SKIP」(スキップ)ブランドで、野菜事業に参入するものの、約20億円損失を計上し、短期間での撤退を余儀なくされた。柳井社長が「この損失を10倍にして返してくれ」と柚木社長をジーユー社長に据えたのは有名な話。2012年10月に柚木社長にインタビューした際には、「(返済まで)あと3~4年かな」と言っていたが、同社の成長はそんなレベルではないことがわかる。(談:文責・千田直哉)

 

 

 ファッションを、もっと自由に。

 

 これがジーユー(以下、GU)のブランドコンセプトだ。「あらゆるお客さまにファッションをもっともっと楽しんでいただけるようにします」というわれわれとお客さまとの約束をあらわしている。

 

 今年、GUは、創業10年を迎えた。

 2006年3月の創業。10月13日にジーユーダイエー南行徳店(千葉県)を開業した。スピードを意識したGUの10年間の挑戦は、数々のヒット商品を生み、業績も右肩上がりで伸ばしてきた。

 2009年、「990円ジーンズ」を発売し大ヒット。GUの代名詞となった。

 2011年に「ファッション」に大きく軸足をシフトし、2013年には海外1号店となるジーユーユニクロ上海店をオープン。2014年8月には、創業から8年で年間売上高1000億円を突破。2015年には「ガウチョパンツ」を発売。2ヶ月で100万本を販売するという大ヒットを記録した。

 そして創業10年、今度は売上高1兆円、さらなる海外展開を目標に、GUは挑戦し続けていく。

 

 2016年8月期は売上1878億円(対前期比32.7%増)、営業利益222億円(同34.8%増)で着地した。2016年9月30日現在、国内に341店舗、台湾に7店舗、中国に4店舗を展開する。

 売上高1兆円は、ファーストリテイリンググループの1ブランドである以上は達成しないと意味のない数字。

 だから、次の10年でブランドと会社をすべてつくりかえる。

 

 この10年を振り返れば、順調だったと自負できる。

 けれども、われわれは、世の中に存在していたニーズを結果としてうまくとらえたに過ぎないと考えている。日本発のファストファッションのニーズはあったのだが、案外、誰もやっていなかった。

 それをわれわれは変化しながら、試行錯誤を繰り返して、探り当てることができたのがこの10年だ。

 ただ、この同じポジションで満足し、食べていくのは普通の会社のすることだ。それで成長できるのは、せいぜい年商2000億円~3000億円がいいところだろう。

 そこで「GUは普通の会社ではない」。あえて、そう宣言したい。

 

 だから全部つくり変える。「こんなファッションのお店、こんなファッションのブランドってあったんだ」といわれるような世界で唯一無二のブランドをつくりあげたい。需要を創造して人々とファッションの関係を変えないといけない。そうやって1兆円企業になりたい。いまは日々そのことばかりを考えている。

 

 GUの成長戦略について、具体的に説明すると、ひとつめは、「最旬リアルファッションを幅広く提供し、“国民的ファッションブランド”になることだ。

 ロンドンと東京のR&Dセンターの連動で、トレンド情報を的確にとらえ、最旬でかつお客さまのリアルニーズのファッションをスピーディーに商品化して提供。ウィメンズ、メンズ、キッズのラインアップ及びスポーツ、グッズの商品構成を拡充し、顧客層の拡大と1人当たり購入額を実現。機動的な素材調達と生産調整を確立することで低価格を追求。その結果、あらゆる人にとって、「ファッションといえばGU!」になりたい。

 国民的ファッションブランドというのはありそうでなかった。ファッションとは全員が着るとファッションではなくなるという常識があって、その常識を超えた世界を追求していきたい。

 

 2つめとして、日本市場においては、大量出店で高い成長性と高収益を継続させる。まだまだ出店余地はある。そのために、年間40~50店舗の出店を継続。店舗のスクラップ&ビルドによって、最適な配置、効率化を推進していく。大型店を積極出店し、商品構成の拡充とブランディングを強化。そして店舗オペレーションの効率化を推し進める。

 

 3つめは、デジタルマーケティングの進化とEコマース事業の拡大だ。

 いまはデジタルの時代。デジタルマーケティングによって顧客との結びつきを強化する。買ってもらえる可能性のある方は全員会員になってもらう。そしてデジタル会員数をさらに増加させ、パーソナライズされた情報・サービスを提供。顧客との双方向コミュニケーションを強化していく。

 またECの利便性を大幅に改善させる。ECサイトやアプリのコンテンツと機能性を強化し、配送や決済のサービスレベルを向上させ、まったくストレスのないようにするとともに商品構成を拡充する。そして、ECの売上構成比率を5%から中期的に30%へと拡大させる。

 

 4つめは、海外事業の拡大だ。2013年に海外進出してから、現在、中国と台湾に11店舗及びEコマースを展開し、海外でのノウハウを蓄積。経営者を育成、人材を強化している段階だ。日本がそうであったように、これが成長のすべての基盤だ。グローバルでのブランディングを高めるマーケティングを推進し、海外での出店エリアの拡大を図っていく。そして3年後には海外店舗は約50店舗、売上構成10%をめざす。

 

 よく聞かれることなのだが、GUはユニクロとは競合しない。実際、両ブランドを隣接させて出しているが両方ともよくなる。ファーストリテイリンググループの第2の柱であり、相乗効果を発揮させることで両ブランドで世界ナンバーワンを目指す。

 

 2つのブランドの特徴を列挙するとこうなる。

 

【ユニクロ】

「Life Wear」「ベーシックファッション」「高品質・高機能性」「リーズナブルな価格」

 

【GU】

「ファッションを、もっと自由に。」「トレンドファッション」「安心品質」「低価格」

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