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2016年6月7日

活況の地ビール市場
各メーカーは小売業に熱視線

ダイヤモンド・チェーンストア

文=押野健史
東京商工リサーチ情報本部

 

 国内ビール大手5社の2015年のビール系飲料(ビール・発泡酒・新ジャンル)の課税移出数量は、輸入分を含めても対前年比0.1%増にとどまった。大手ビールメーカーが苦戦するなか、昨今躍進を続けているのが、ローカルブランドのビールである地ビールの市場である。

 東京商工リサーチは15年9月、全国の地ビールメーカー178社に対してアンケート調査を行い、そのうち出荷量が判明した77社(有効回答率43.2%)の調査結果を取りまとめた。これによると、77社の累計出荷量は8693キロリットル(15年1~8月累計)で、対前年同期比14.4%増だった。77社の出荷量増減の割合を見てみると(図1)、全体の7割以上を占める56社で前年の出荷量を上回った。

 地ビールメーカーもブームを強く実感しているようだ。アンケート調査において、「地ビールブームを感じるか」という質問に対しては、「大いに感じる」との回答が25社、「やや感じる」との回答が41社からあった。合計すると、8割超のメーカーがブームを実感していることになる。この質問項目をアンケートに加えた12年の調査以降、最も高い水準となった。
 

 

 出荷量が増加したメーカーにその要因を聞いてみると(図2)、「飲食店、小売業者等の地ビール扱い店の増加」が最多であった。次いで「その他」となっているが、これには「新商品の投入」や「ふるさと納税による取り扱い増加」といった理由が挙げられている。そして、「コンテスト入賞等による宣伝効果」「生産設備の増強」が続いた。新商品や限定商品の投入もさることながら、酒類販売店や食品スーパーなどの小売業、飲食店などへの販路拡大が、出荷量の増加を大きく後押ししたと各メーカーは分析しているようだ。

 中小企業が中心の地ビールメーカーの場合、生産能力の問題もあり、直営の飲食店やイベントなどを通じた自社販売がこれまで中心だった。しかし現在では、販路拡大や量産効果によるコストダウンを図るため、自社の販売チャネル以外に、小売店や飲食店に販路を求める動きが活発になりつつある。

図3では、「現在の主な販売方法」と「伸びている、あるいは今後伸びが見込まれる販売方法」として各メーカーから挙げられた販売チャネルを示した。

 そのなかで、「伸びている・今後伸びが見込まれる販売方法」として、「酒販店等小売店への卸売」を挙げた企業が全体の27.2%(回答企業21社)となり、対前年(同14社)比で8.8ポイントの大幅増を見せた。消費者にとって身近な存在であり、強い販売力も備えた小売業に、地ビールメーカーが大きな期待を寄せていることがわかる。

 一時のブームに左右されず、地ビールメーカーがこれからも成長を持続していくためには、品質の追求と商品の安定供給を継続し、いかにファンを拡大できるかがカギになる。生き残りをかけ、小売業との連携に活路を見出す動きはますます加速していきそうだ。

 

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