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第136回

2016年6月7日

「SM経営者、新旧世代の橋渡しがしたい」
時代の変化に合わせ、一部でPC導入も検討
オール日本スーパーマーケット協会会長 田尻一会長

DIAMOND Chain Store

2015年にオール日本スーパーマーケット協会(AJS)の新会長に就任した田尻一氏。国内市場は、少子高齢化が進行し、人口は減少、さらにオーバーストア化と既存の業態区分を超えたボーダーレスな競争が激化──。食品スーパー(SM)企業を取り巻く経営環境は厳しさを増している。そのなかどのような方針、施策で会員企業をサポートするのか。現状や課題、また今後の展望などを聞いた。

聞き手=千田直哉(本誌)


差別化のカギを握る生鮮食品

たじり・はじめ●1956年生まれ。1979年日本大学芸術学部卒業。同年サミットストア(現・サミット)入社。2001年取締役就任。03年常務取締役06年専務取締役を経て07年6月代表取締役社長就任(現任)。15年オール日本スーパーマーケット協会会長就任

──2015年6月、AJSの第4代会長に就任され1年が経過しました。あらためてSM業界を取り巻く環境の認識、また新会長としての役割や対応についていかに考えているか教えてください。

田尻 SM業界には大きな変化の波が押し寄せていると感じています。日本は05年頃から少子高齢化の進行によって人口が減少し始め、食品のマーケットは徐々に縮小しています。さらに流通企業間の競争は激しさを増し、SM間だけでなく、近年はコンビニエンスストア(CVS)、ディスカウントストア、ドラッグストア(DgS)、Eコマースといった業態を超えた熾烈な戦いが繰り広げられています。

 そんななかで、AJSの会員企業においては、経営者の世代交代が進んでいます。日本におけるSM業界の黎明期からこれまで第一線でがんばってこられた創業者世代から、次の世代にバトンが手渡され、経営者の年齢層が急速に若返っているのです。私は今年、還暦を迎えましたが、新旧世代のちょうど中間にいる者として、その橋渡しをするのが自分の役割ではないかと考えています。時代に適応した「スーパーマーケットのあるべき姿」を、AJSの理念である「知恵の共同仕入れ」を通じて、徹底的に追求していきたい。

──オーバーストアと競争の激化、また異業態とのボーダーレスな競争に直面するなかで、SMは何を重視すべきでしょうか。

田尻 日本全国のSMを見て、「これは強い」と感心させられる企業や店舗の共通の特徴は、生鮮食品で差別化を図っていることです。生鮮食品は、それぞれ味や特徴が異なりますから、産地を特化できれば、自社のオリジナル商品を育成しやすいはずです。

 もちろんAJSの会員企業にとっても同じことが言えるでしょう。農産、水産、畜産の生鮮3部門で特徴を出しながら、総菜を加えた生鮮4部門を強化することが競争力に直結すると考えます。

──会長が社長を務めるサミット(東京都)でも、「新MD」という位置づけで、生鮮3部門と総菜部門の取り組みをずいぶんと強化してきました。

田尻 サミットでは、その生鮮4部門の売上高構成比向上に努め、55%をめざそうという話をしています。

 15年3月、旧東中野店をスクラップ&ビルドしてオープンした「サミットストア東中野店」(東京都中野区)が今、53%超で推移、業績も好調を維持しており、かなりの手応えを感じています。今年6月に開店する「サミットストア羽衣いちょう通り店」(東京都立川市:売場面積550坪)は、第4次MD改革具現の店舗と位置づけ、よりいっそう生鮮食品に特化した売場にしようと、準備を進めてきました。まもなく私はサミットの社長職を退きますが、ある意味では私自身の集大成の店舗になると考えています。

──生鮮食品の強化について、AJSの方針とサミットの整合性はとれていますか?

田尻 AJSは、歴史的にも生鮮3部門を重視してきましたから、ここについては従来と変わりはありません。ただ、残念なことに総菜部門については、過去にあまり力を入れてきませんでした。「おかず屋」「食事材料の提供」という意識はありましたが、「中食」「食事そのものの提供」といった概念についての対応は希薄だったかもしれません。

 しかしながら、時代時代でお客さまのニーズは変化するものです。需要のある分野は、AJSとしても新しい品揃えの方向性として積極的に情報発信、サポートをすべきだと考えています。

 

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