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2016年5月15日

高齢世帯の増加からみえる
コンビニエンスストアの成長余地

ダイヤモンド・チェーンストア

文=五十嵐貴宏
富国生命(相) リスク管理統括部審査グループ 主任調査役

 

 すでに国内5万店を超えるコンビニエンスストア(CVS)は、「便利」から「必要不可欠」へ進化し、「社会インフラ」として位置づけられるようになった。今やインフラとしての「社会的要請」を戦略に生かす次のステージに突入しつつあり、とくに高齢社会への対応に注目が集まる。

 国勢調査を見ると、核家族化や単身者の増加傾向は変わらない。しかし、2000年以前は高齢者以外の単身者世帯が世帯数増加の主役であったが、2000年以降は高齢世帯(高齢単身者世帯および高齢夫婦世帯)が世帯数増加の主役になっている(図表①)

 1990年の高齢世帯構成比は8.8%だったが、10年には実に19.3%を占めており、1000万世帯を超えている。今後、順次公表される15年の国勢調査結果でも同様の傾向が続くだろう。高齢社会の到来はこれからが本番とも言え、世帯消費を考えるうえで高齢世帯の動向を把握することが重要となる。

 CVSの売上高構成比をみると食品関連が6割以上を占めており、こういった世帯構成の変容を念頭に置いた「食」にまつわる商材開発が重要になっている。高齢世帯の増加により、「調理の簡便化」が進むとみられる。

 食品スーパーでも、総菜の品揃えを充実させて、内食から中食への対応強化を図っている。しかし、店舗数が多く、自宅の近くにあるCVSに優位性があると思われる。

 経済産業省「商業動態統計年報」で飲食料品売上高を見ると、小売業全体の飲食料品売上高に占めるCVSの比率は上昇トレンドにある(図表②)。2000年代に10年以上かけて緩やかに2.0%ポイント上昇してきたCVSの比率は、直近3年で2.1%ポイント上昇し14年には14.4%となっている(急上昇の背景として東日本大震災によりライフラインとしての位置づけが見直された面が大きい)。高齢世帯の増加とCVS食品比率の上昇は上述のとおりほぼ並行している。

 

 

 CVS各社は「食」にフォーカスし、商品開発に余念がなく、品質向上への探求心も旺盛だ。「調理の簡便化」を具現化させた商品がいくつも店頭に並んでいる

 また、CVS各社は、より小さな商圏への店舗出店やイートインスペースの拡充、ネット通販の商品受け取りサービスの拡充など「顧客の時間価値を最大化」する動きが顕著で、顧客のニーズに細かく対応することで商圏を開拓している。こうした取り組みは、高齢者を念頭に置いていることがうかがえる。市場環境や生活様式の変化に即応できる点がCVSの強みであり、業態としての価値でもある。

 足元では大手CVS企業の寡占化が加速している。物流網やITなどがCVSにとって重要な要素となるなか、規模の経済をめざすことは当然と言えよう。ドミナント効果を発揮・機能させ、お客のニーズに対応した商品を提供し続ける限りは、CVSは今後も幅広いお客の支持を獲得しそうである。CVSは自らの成長余地を切り拓いていくだろう。
 

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