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第135回

2016年5月1日

顧客データ分析に磨きかけ、
安さ以外の価値を提供する!
オギノ代表取締役社長 荻野 寛二社長

DIAMOND Chain Store

山梨県を中心に食品スーパー(SM)を展開するオギノ。顧客の購買履歴データの分析・活用で定評のある同社は2016年度、購買履歴データにビッグデータや顧客インタビューを加えた分析にも取り組む。山梨県ではディスカウントストア(DS)を中心に競合店の出店が相次ぐなか、どのような戦略で成長をめざすのか。同社の荻野寛二社長に聞いた。

聞き手・構成=下田健司(本誌)


簡便系、健康系品揃えを拡大

 

おぎの・かんじ●1952年生まれ。75年早稲田大学法学部卒業、カネボウ化粧品入社。78年オギノ入社。79年すかいらーく入社。81年オギノ入社。91年取締役就任。93年常務取締役就任。97年代表取締役社長就任

──2015年度にSM3店舗を出店されました。例年よりも多かったようですね。

荻野 建て替えや移転増床を含めて、15年4月に「下石田店」、7月に「上今井店」、11月に「竜王駅前店」を開設しました。たまたま15年度に集中した店舗です。当社は、山梨県に30店舗強を展開し、県内でドミナントを形成しています。そのドミナントの組み立て直しに取り組んでいるところです。

 これらのSM3店舗では、売場を拡張しました。当社は売場面積450坪を標準としていますが、標準規模に比べて50坪から80坪ほど増やしています。お客さまの嗜好はどんどん多様化しています。それに応える品揃えにしようとすると、これまでの店舗規模では限界があります。売場面積を拡張したのは、品揃えを拡大しお客さまの変化に対応するためです。

──品揃えを拡大したのはどんな商品ですか。

荻野 簡便系の商品です。カット野菜やカットサラダなどは、従来のサラダに比べて販売の伸びが大きい商品です。品目数を従来の2倍に増やしました。また総菜では、日持ちのするパウチパック入りの商品の品揃えを拡大しています。

 加工食品では、健康系の商品を多く導入しました。とくに、山梨県は1日1人当たりの食塩摂取量が全都道府県の中で上位にランクされていますから、減塩商品も増やしています。

 こうした商品を既存の売場の中に差し込んでいます。今は、価格の安いプライベートブランドと、大手ナショナルブランドがあればいいという時代ではありません。お客さまの嗜好が多様化し、求める商品の幅が広くなっています。それに対応しようと品揃えを拡大した結果、今回、品目数は全体で2割ほど増えています。

──既存店舗でもこうした商品の品揃えを拡大していきますか。

荻野 もちろん、そのつもりです。ただ、大型店舗から中・小型店舗まで、店舗規模にばらつきがありますから、そのまま導入することはできないでしょう。

 お客さまの購買データの分析結果を見ると、ライフスタイルが細分化されてきていることがわかります。しかも、それが固定化されてきています。

 細分化された個々のライフスタイルに対応するために、たとえば素材系、簡便系、即食系と分けて商品の品揃えを拡大させているわけですが、さらに、安さ、低カロリー、健康系といった分類の切り口も加えていく必要があります。品揃えについては今、過渡期にあります。2~3年後には機能が重複している従来型の商品を少しずつ整理していきたいと考えています。

──品揃えを拡大して、顧客の反応はいかがでしたか。

荻野 まだ結果には表れていません。想定と違って、お客さまにまったく支持されないこ客さまの実態も、以前よりつかみやすくなってきています。

──山梨県では競合店の出店が続いています。データの分析・活用は競争上の武器になりますか。

荻野 ここ数年、大手チェーンやリージョナルチェーンのDSの出店が続いています。DSとの競争は確かにあります。ただし、お客さまの求めるものは安さだけではないということが、当社のデータ分析からわかっています。われわれはお客さまごとの食生活シーンをトータルにとらえることをめざしています。安さももちろんありますが、それ以外の価値を提供したいと考えています。

 この商品ならDS、この商品なら「オギノ」と、お客さまは店舗を使い分けています。競合店が出店する前に特売チラシを配布したりしていますから、競合対策という発想はないわけではありません。しかし、重要なのはお客さまのニーズをとらえられるかどうかです。安さを求めるお客さまもいますが、そうでないお客さまもいますから、総合的にお客さまをとらえていく必要があります。

──16年度の重点方針は何ですか。

荻野 購買履歴データを中心に、マクロとミクロの観点を加えて分析していきたいと考えています。

 マクロの点では、お客さまの購買履歴データにビッグデータを加えた分析・活用にもトライしていきます。購買履歴データだけでも相当いろいろなことがわかりますが、それだけでは見えてこない部分もあります。ですから、ビッグデータを組み合わせて分析すれば、これまでとは違う景色が見えてくるのではないかと期待しています。

 ミクロの点では、お客さまのニーズを深く掘り下げていくために、定性調査にも力を入れます。アンケート調査もありますが、それだけでなく、お客さまの本音を聞き出すために、インタビュー調査も実施する予定です。アンケート調査も少し深掘りすれば定性調査になりますが、それだけではお客さまの内心まではわかりません。なかなか難しいことですが、インタビュー調査を含めて、お客さまの気持ちを引き出せればと思っています。

 データ分析・活用について当社は十数年来、「FSP研究会」の場でメーカー・卸さんと協働で取り組んできました。レベルが上がってきていて、非常にいいかたちになっていますから、この取り組みをさらに深化させていきたいと考えています。新しいデータ分析手法についても、メーカー・卸さんと連携して取り組んでいきます。データ分析をいかにリアルの商売につなげていくかがわれわれの大きなテーマになっています。

──どのようなビッグデータを活用していくのですか。

荻野 わかりやすいのは、行政機関の持つ公共データの活用でしょう。たとえば、介護認定者数が限られた範囲で町村ベースに公開されています。これにオムツの販売データを重ね合わせたグラフが、あるメーカーさんの展示会で提示されていました。われわれの品揃えについても、そうしたデータを反映した品揃えにすることが考えられます。

 

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