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2016年5月1日

「個性演出型」「らくらく家族型」は、
SMでの購入金額が落ち込む傾向に

ダイヤモンド・チェーンストア

文=牛木麻衣子
インテージ パネル事業本部 リテールサービス部

 

 業態の垣根を越えた競争が激しくなっている。生鮮食品の販売を強化するコンビニエンスストア(CVS)、食品スーパー(SM)と遜色ない食品売場を持つドラッグストア(DgS)、ネット通販(EC)の伸長──。2015年、どのような消費者が、どの業態へ流れ、何を購入したのか? インテージSCIデータ(以下、SCI)から振り返ってみたい。

&emsp:S C Iは全国15~69歳の男女5万人の消費者から日々の買物情報を収集したパネルデータだ。モニターにアンケート調査を行うことで、消費者の価値観も分析できるという特長がある。15年1~12月間のSCIのレシート金額※を見ると、SMは対前年比0.1%増と前年並みだが、内訳は商品の値上げによる客単価(=レシート金額)の上昇によって支えられており、利用回数(=レシート枚数)は同1.2%減だった。さらに、主要な他業態の利用回数は増加していることから、消費者がSMから他業態へ流出したと考えられる。

 それでは、どのような消費者が他業態へ流れたのだろうか。これまで性別・年代別に動向を見ることが多かったが、同じ年代でも、未既婚、子供の有無、さらに趣味・嗜好性によって購買行動は大きく異なる。そこで、似た価値観を持つ消費者別に動向を見てみたのが図表①である。

 

 すると、SMでの購入金額の落ち込みは「利便性重視型」の消費者で大きいことが分かった。利便性重視型は「食事に時間をかけたくない」といった簡便意識のスコアが高い。ECでの購買が伸長している点も、時間をかけずに都合に合わせて買物できることに価値を感じるためといえるだろう。また、「高付加価値型」の消費者はCVSでの購買金額が上昇、「価格志向型」の消費者はDgSでの購買金額の上昇傾向が見られた。

 次に、SMでの購買が落ち込んだカテゴリーを図表②に示した。対前年比でマイナスの寄与度が大きい順にカテゴリーを並べてみた。たとえば、「個性演出型」(20代までの未婚男女で、個性をアピールしたいけど面倒なのは嫌というタイプ)の消費者は、ビールやスナック、生麺・ゆで麺の購買がSMで減少した一方、CVSで上昇した。また、同じ利便性重視でも「らくらく家族型」(20~40代の既婚・子育て中の男女で、日々の調理を簡単に済ませたいというタイプ)の消費者は、冷凍食品や菓子、調理パン類の購買がSMで減少した一方、CVSやECで上昇した。菓子はどちらの消費者もECでの伸びが見られた。

 

 このように、消費者の価値観に注目して動向を見ると、その業態やカテゴリーを選んだ理由が見えてくる。1人ひとりのお客から支持され、店舗のロイヤルティを高めるには、自社の顧客を深く理解し「個客」ニーズにどれだけ寄り添えるかがカギとなるだろう。

SCI調査カテゴリー(食品、日用雑貨品などの一般消費財)を一緒に購入したレシートのみを対象とする

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