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第112回

2016年3月16日

【ドラッグストア新時代】
変わる!ドラッグストア トランスインフォメーション

DIAMOND Drug Store

 

ドラッグストアの1店舗当たりの売上高は頭打ち

 

 2月期、3月期決算の多い小売業界では、そろそろ上場企業の2015年度決算が発表される。

 ドラッグストア(DgS)市場は、2014年4月の消費税率引き上げの影響が一巡したことに加え、訪日外国人観光客のインバウンド需要を取り込み、2015年度は売上を大きく伸ばす企業が続出するものと予想される。

 しかしながら、DgS市場は依然として厳しい状況にあることには変わりはない。市場が同質飽和(オーバーセイムストア)化しているからである。

 DgS業界の発展を牽引してきたリーダー企業のひとつ、マツモトキヨシホールディングス(千葉県:以下、マツモトキヨシaHD)の松本清雄社長は次のように話す。

 「DgS業界はこれまで、ほかの業態が販売していた商品を取り扱うことで売上を奪取し、成長してきました。その結果、これ以上、何を扱えばいいのかと悩むほど店舗の同質化が進んでいるのが現状です」。

 日本チェーンドラッグストア協会(神奈川県/青木桂生会長)の『日本のドラッグストア実態調査』によると、DgS企業の総売上高は13年度に6兆円の大台を突破。14年度は6兆679億円となり、過去10年で約1.4倍に拡大した(図表①)

 ただし、伸び率は年々鈍化しており、14年度は対前年度比1.0%増に留まっている。店舗数は2004年度の1万4348店舗から14年度は1万7953店舗まで増加(図表②)。これに伴い、1店舗当たりの売上高は2010年度の3億4600万円をピークにダウントレンドに突入。14年度は3億3800万円になった。主因は同質化した店舗の飽和化が進んだことにあるとみられる。

 DgS業界の黎明期は、日用品を廉価販売することで集客を図り、一般用医薬品( O T C )やヘルス&ビューティケア(H&BC)商品との粗利ミックスによって収益を上げ、成長を遂げてきた。しかし、今やその手法はまったく通じなくなってきている。

 OTCは、09年の薬事法改正により、相対的にリスクが低い第2類・第3類医薬品は、登録販売者を配置すればあらゆる店舗で販売できるようになった。そして使用に特に注意が必要な一部の医薬品を除き、14年6月からは第1類、第2類、第3類のすべてのOTCはインターネットや電話などで販売可能になった。

 H&BCを取り扱う業態や店舗も増え、どこでも購入できるナショナルブランド商品は低価格競争にさらされて、高利益商材とはいえなくなってきている。

 そして日用品は、同業との低価格競争に加え、コンビニエンスストア(CVS)をはじめとした「近くて便利」な店舗が低価格のプライベートブランド(PB)商品の開発に注力。重くてかさばる日用品はEC(ネット通販)でまとめ買いされるようにもなってきている。

 このままでは、少子高齢化の進行で将来有望なDgSマーケットはさまざまな業態が入り乱れて草刈り場と化すことにもなりかねない。

 

 

各社各様の店舗フォーマットの進化

 

 ただし、同質飽和化から抜け出すべく、旧来のビジネスモデルを捨て去り、自ら変化し、店舗フォーマットを進化させることで成長を図るDgS企業も多く見られる。

 マツモトキヨシHDは、インバウンド特化型店舗や次世代ヘルスケアショップと位置づける「matsukiyo LAB(マツキヨラボ)」、食品強化型店舗「petit madoca(プチマドカ)」を実験している。なかでも「お客さまに信頼される、地域に密着したかかりつけ薬局(DgS)」としての機能を進化させた「matsukiyo LAB」は、客数、売上高が大きく伸びているという。

 ウエルシアホールディングス(東京都/ 水野秀晴社長:以下、ウエルシアHD)は、①DgSと調剤薬局の併設(ドラッグ&調剤)、②深夜営業、③カウンセリング及び介護を柱にした事業モデル「ウエルシアモデル」の店舗を増やしている。さらに、地域住民に開放するフリースペース「ウエルカフェ」の設置店舗を増やしたり、DgS業界では先陣を切って24時間営業・24時間調剤の店舗を増やしている。

 ツルハホールディングス(北海道/堀川政司社長)は、数年前から食品の取り扱いを開始した。地域集中出店によってシェア拡大を早期に図るドミナント戦略をとる同社は、自社競合が発生し狭小商圏化と客数の減少に悩まされていた。そこで食品の販売に注力し、お客の来店頻度向上を図ることにした。「2016年5月期上期(15年5月~11月)に50店舗、同下期(15年11月~16月5月)に約30店舗に食品を導入すると、ほぼすべての店舗で食品の導入が終わります」(堀川社長)。

 スギホールディングス(愛知県/桝田直社長:以下、スギHD)は、創業当時から「かかりつけ薬局」になることをめざし、現在もその目標に向けて邁進しているという点で、ほかのDgS企業とは大きく異なる。同社は調剤併設型DgSのパイオニアであり、現在、「核店舗」と呼ぶ新型店舗を増やしている。コンセプトは「美・健康・快適生活の総合サポート」。従来型のDgSよりも薬剤師や管理栄養士といった専門的なスタッフを多く配置し、健康・体調、医薬品やサプリメント、さらに食事や運動面などについて、お客の相談にも積極的に乗る。

 美と健康の分野をドメイン(戦略的事業領域)とするココカラファイン(神奈川県/塚本厚志社長)は、「cure・care・fine・ストア」をめざしている。同社は美と健康の商品カテゴリーを「cure(キュア:治す)」「care(ケア:整える)」「fine(ファイン:健康・元気になる)」の3つの考え方で整理。お客の悩みを解決できるサービス力を備えた従業員により「おもてなし№1」になることを目標に掲げる。

 サッポロドラッグストアー(北海道/富山浩樹社長)は、都市中心部・交通拠点に立地する「シティードラッグ」、商業集積地などに出店し、各テナントなどとの相乗効果を求める「ドラッグストアー」、食品・酒類・日用雑貨強化型の「スーパードラッグ」、専門性とディスカウントを融合した「メガドラッグ」の4フォーマットを展開。今後は、5つめの新しい形態の店舗として、小商圏における収益モデル店舗「ゼネラルフォーマット」を中心に出店していく。

 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県でDgSを展開するウェルパーク(東京都/國光良昭社長)は、地域のお客の健康と美容への貢献に特化する。より人口密度の高い都心部の駅前や繁華街にも出店できるように、H&BCを強化した小型フォーマットの構築も進めている。

 

将来有望で潜在性の高い優良なマーケット

 

 このように先進的DgSは同質飽和化からの脱却を企図し、変化と進化を繰り返している。その結果、フォーマットは分化してきた。今後、DgS市場はさらなるラインロビングや新フォーマットの出現で拡大する可能性が大きい。そして、超高齢社会の潜在的な課題・問題が顕在化してくれば、それがDgS市場拡大を後押しすることになる。

 ウエルシアHDの池野隆光会長は、「『心も体も健康でいたい』といった需要に対しては、供給がまったく追いついていません。つまり、われわれDgSは、この日本で唯一といっていいくらい成長余地の大きいマーケットに身を置いているのです。ですから、『心も体も健康でいたい』という需要に対応したよい商品があれば、市場はさらに拡大していくはずです」と力を込める。

 ウェルパークの國光社長も同様の指摘をする。「DgSは今、セルフメディケーションに向けた取り組みを求められています。(中略)お客さまが病気になって医療機関にかかる前の段階で、DgSとしてやれることはたくさんあるはずです」(國光社長)。

 市場の変化に対応し、トランスフォーメーション(変形・変質・変態)することで新しいフォーマットを創造できれば、DgSはまだまだ大きく成長できるはずだ。DgSは将来有望で潜在性の高い優良なマーケットなのである。

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