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2016年3月15日

ビッグデータ活用は低調
生協の取り組みが目立つ

ダイヤモンド・チェーンストア

文=野間博美
矢野経済研究所 ICT金融ユニット 理事研究員

 矢野経済研究所では2015年11月に国内の小売業173社(百貨店、食品スーパー(SM)、専門店、生協)に対するアンケートを実施した。そのなかで、今後データを活用したいと考えている業務領域は、図表①のとおりの結果となった。

 最も多かったのは、「既存客の来店頻度向上」(61.8%)だった。次が「マーチャンダイジング(商品政策)」で53.2%、3番目は「客単価の向上」で50.3%となった。

 逆に、新たな顧客開拓につながるような「O2O(Online toOffline)」や、「オムニチャネルの実現」に関しては回答が少なかった。小売業においてデータ活用したい業務領域としては、将来よりも日々の課題、なかでも集客に関するものが優先されているようだ。

 

 次に、一般的にいわれる「ビッグデータ」の活用に対する考えを聞いた結果が図表②である。全体では、「積極的に取り組んでいる」とする企業は6.9%であり、取り組みが遅れていることが明らかになった。

 また、まだ取り組んではいないが、「今後の重要課題」であるととらえている企業も20.2%にとどまった。逆に、「課題ではあるが優先度は低い」という企業が42.8%であり、「取り組む予定はなし」の28.9%と合わせると、全体の7割以上が、現状ではビッグデータの活用にさほど積極的ではないという結果になった。

 業態別に見ると、最も積極的にビッグデータの活用に取り組んでいるのは生協で、2割弱がすでに積極的に取り組んでおり、3割近くが「今後の重要課題」であると回答した。ほかの業態と比較すると、相対的に関心が高いといえる。
 

 生協には組合員の情報がストックされており、ほかの業態と比較して顧客情報を取得しやすいことが、データ分析の需要を高めていると考えられる。

 百貨店については、「今後の重要課題」であるという回答比率が29.2%と4業態の中では最も高いものの、課題と認識しながらも優先度は低いという企業も50.0%と最も多かった。

 また、最も関心が低いのはSMであった。取り扱いカテゴリーの似ている生協と比較すると、取り組みに対する差が目立っている。SMでは、すでに取り組んでいる企業と、取り組む予定がない企業との二極化が見て取れる。

 専門店は、積極的に取り組んでいる企業が多くなかった。ほかの設問において、ビッグデータ活用で実現したい内容に関してより具体的に答える企業がある一方で、具体的な内容はないという回答も多く存在していた。このことから、専門店では、先進的な企業とそうでない企業との乖離が著しいことがうかがえる。

 本調査結果から、小売業各社がデータ活用に対して求めるのは、日々の課題解決に結びつけられることであるとわかった。現時点では、ビッグデータを必要とする小売業は少ないようだ。

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