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2016年2月2日

【変わるGMS】
総菜、イートインコーナー、フードコート一体化に見る
イオンリテール板橋前野町店のチャレンジ

 イオンリテール(千葉県/岡崎双一社長)が昨年11月、東京板橋区にオープンした「イオンスタイル板橋前野町店」。イオンスタイルは従来の総合小売業(GMS)の枠にとらわれず、高い専門性を追求するとともに、地域ごとに適した売場をカスタマイズすることを目指したストアブランド。従来のショッピングモール型の商業施設では定番ともなっている衣料をあえて扱わず(子供服と肌着をのぞく)、その変わり、食品の構成比が6割に達する新しい形の売場づくりに取り組んだ。

イートインスペース「ラ・フォリア マルシェダイニング」
フードコートと総菜の融合に大胆にチャレンジ。奥に見えるのが新コンセプトのショップ「ベジマイル」

 「イオンスタイル板橋前野町店」は地下1階、地上3階建て。都営三田線志村坂上駅から徒歩8分にある、典型的な都市型の店舗。周辺には子どもを持つ30~40歳代のファミリー世帯が比較的に多いことから、「子育て中のオトナを応援する」というストアコンセプトを打ち出しており、板橋区が推進する在宅子育て支援事業「赤ちゃんの駅」(乳幼児のおむつ替えや授乳ができる無料の専門施設を提供する事業)の認定を受けるなどの取り組みを行っている。

 

 この中で、イートインスペース「ラ・フォリア マルシェダイニング」が設けられているのは、店舗の顔ともいえる1階だ。フロアの約6割を占めるスペースに、飲食店、カフェ、スイーツ専門店、ジューススタンド、ベーカリーなど直営、テナント合わせて11店が出店し、共用のテーブルを含めて席数は350を確保。店内の他のフロアで買った食品や飲料を持ち込んでもよく、すべての商品が持ち帰りできる。総菜売場とイートイン、フードコートが一体になった売場だ。

 

 もともと同社では、総菜やフードコート、イートインをそれぞれ展開してきたが、一体化した形で打ち出したのは同店が初めて。売場をプロデュースした西野克・イオンリテール食品商品企画本部デリカ商品統括部長兼デリカ商品開発部長はその狙いを、「提供する側の視点で、総菜とか、外食といった切り分けをしているが、お客さんは自分の好きなように、好きなものを食べたい。食の楽しみを豊かに広げることを目指した」という。

 

売場をプロデュースした西野氏

 地下1階の食品売場で購入した菓子や飲料をイートインスペースに持ち込むのも自由。自分で好きに組み合わせて、その場で食べてもいいし、持って帰ってもいい。さらに、朝、昼、晩で提供するメニューや店の照明を変えることで、それぞれの時間帯に来店する客層、ニーズの変化にも対応する。たとえば、朝は遅めの朝食用にテイクアウトの総菜や軽食を、昼は周辺に勤める人たちや主婦のランチ需要に対応し、午後は学校帰りに立ち寄る学生などが談笑スペースとして活用、夜は照明を落としディナーと酒類を提供、いわゆるバルスタイルになる。

生活シーンの中で便利に活用できる空間づくり

 ストアコンセプトの「子育てしているオトナを応援する」というときの「大人」は、子供の親世代だけを指すのではなく、祖父母や近所、ママ友などまわりの大人すべてを指す。小さな子供から働き盛りの親世代、引退したシニア世代に加え、親子という単位だけではなく、友人家族同士、ママ友同氏など、いろいろなニーズ、背景を持つ人たちが食を仲介にして交流し、集う場所であり、朝から晩まで、生活シーンの中で便利に活用できる空間づくりを目指した。

 

 このため、一般的な商業施設のイートインコーナーによくある安普請のテーブルやいすではなく、クッションの入った大きめのイスと、やや低めのテーブル、中心には一人掛け用の大きな丸テーブルもあり、観葉植物まで飾ってある。コーナーごとにテーブルの形や高さをかえ、あるいは、パーテーションで区切るなど変化をつけることで、イートインコーナーにありがちなせわしい感じやわい雑観を極力排除し、ゆっくりくつろげる空間づくりに気を使っているのがわかる。

 

 売場づくりについても、単に飲食店を並べただけではなく、同社がここ2年ほど取り組んできた総菜の新しい取り組みが盛り込まれているという。

 

 まず、売場の中心になるのが、ビュッフェコーナー。洋食に特化した対面型の総菜店「リワードキッチン」と、総菜を自由にチョイスできる「マイセレクトデリ」の2店を合体させたもの。リワードキッチンでは、「ローストビーフサラダ」や「黒毛和牛のハンバーグ」など作り込んだおかずを提供。「マイセレクトデリ」では、60種類の総菜を100g198円の均一料金に設定し、g単位で量り売りする。好きな惣菜を取り分けて、ごはん、スープ、カレーを加えて、自分なりにセレクトして食べることができるわけだ。

 

洋食に特化したビュッフェスタイルの提供「リワードキッチン」

 

 総菜そのものは同社の全国の店舗で提供しているアイテムと同じだが、対面式で販売することで高級感を演出。また、食器も陶器トレイ、金属製のスプーンとフォーク、塗り箸を用意し、従来のセルフ式の総菜販売にはないスタイルを目指した。背景には、「店で買ったものをイートインコーナーで食べる姿はあまり格好良くない、という世間のイメージを払しょくしたかった」(西野氏)という思いがある。ただオペレーションでは課題を残した。陶器のトレイは洗浄に手間がかかるからだ。

 

 今回は、新しいコンセプトの直営ショップ2店を出店した。まず、野菜をおいしく食べることをテーマにした鉄板焼き料理専門店「ベジマイル」。使う野菜は、すべて国産で、季節ごとにその時に旬のもの10種類程度を使う。店内で一からつくるオリジナルソース、ハンバーグやカレーと旬の野菜を盛り合わせたメニューなど10種類程度を提供。時間帯によってもメニューは変わり、旬の野菜にキノコの焼きチーズリゾットを合わせたモーニングメニュー、ディナー時間にはタスマニアビーフを使ったサーロインステーキなどをもある。

 

 もう一つが、卵料理専門店「アンドエッグス」。イオングループで外食ビジネスを手掛けるイオンイーハート(同/中村弘治社長)と協力し、「たまご」をテーマにした「玉子コロッケ」、「だし巻」、「玉子焼き」など9種のニューを提供する。

たまごをテーマにした個性的なショップ「アンドエッグス」

 

 いずれも、従来の店舗では、総菜売場で展開していた商品やサービスだったが、商品づくりのコンセプトを具体的なメニューとして表現するために新店として立ち上げた。今後は、多店舗化していく構想もあるという。

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