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第2回

2015年10月15日

実践的ID-POS分析
店舗のローカライゼーション

「実践的ID‐POS分析」連載第2回は、店舗のローカライゼーションを取り上げる。店舗の特性に応じた品揃えや売場づくりを行うためには、その店舗の主要な顧客層や購買傾向を正確に把握することが必要である。商圏特性に応じた店舗のローカライゼーションを実現する方法を解説する。

文=原島淳(SAS Institute Japan ソリューションコンサルティング第一本部 CIグループ マネージャ)

 

CVSヘルス、クローガーのローカライゼーション

 

 商圏特性に応じて店舗をローカライズする小売業が国内外で増えている。

 米ドラッグストア大手のCVSヘルスは、「マイCVSクラスタリング」イニシアティブのもと、店舗を8つのクラスターに分類する。その中の1つ、「アーバンクラスター」に属する店舗では、グロサリー、生鮮食品、グラブ&ゴー食品(サンドイッチやサラダなど)を強化した結果、売上が8%、利益が9%伸びた。米百貨店のメイシーズでは、「マイメイシーズ」のローカライズ強化を始めた2009年以降、それまでマイナスだった既存店売上高の年成長率がプラスに回復している。

 店舗によって商圏や顧客層は異なる。高級志向の顧客が多い店舗もあれば、低価格志向の顧客が多い店舗もある。そのため、店舗によって客単価や売れる商品は異なる。こうした店舗の実態をID-POS分析によって理解することで、店舗特性に応じたローカライゼーションが可能となる。

 米食品スーパー(SM)大手のクローガーは、顧客セグメント分析により、店舗を的確にクラスタリングする。店舗を「アップスケール」(高級志向)から「バリュー」(低価格志向)まで5つに分類。アップスケール店舗は、顧客サービスを重視するほか、オーガニック商品の売場を拡張し衝動買いを促すように店づくりを設計する。バリュー店舗は、低価格商品のスペースを広く取り、オペレーションコストを下げて値引きに注力する。

 日本でも、個店経営を打ち出し、地域性を取り入れた店舗運営をめざす動きが目立ってきた。本部が店舗の客層や購買動向などの情報を個店に提供している小売業もある。個店がその情報を利用することで、商品構成などの的確な判断ができるようになるからだ。

 

分析3つのステップ

 

 店舗の売上傾向(客単価や部門別の売上構成比など)は、店舗ごとに違いがある。店舗ごとの違いを生み出す客層の違いを正しく把握することで、どのような売場や品揃えにすべきかを的確に判断することが可能となる。

 シンプルかつ標準的なアプローチは、有意なクラスターを定義し、店舗のユニークなプロファイルを整理することから始める。たとえば、「子供がいて、価格に敏感で、忙しい顧客が来る店」というクラスターを定義した場合、それが商品構成、レイアウト、価格などを設計する起点となる。

 具体的な分析手順には、顧客の理解、クラスタリング、ローカライゼーションの3ステップがある(図表(1))。

 

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