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第12回

2015年7月28日

「安全な農産物の認証制度 JGAP」(1)

JGAPは、農場を対象とした品質管理手法である。JGAPとはJapan Good Agricultural Practiceの略であり、直訳すれば「日本の良い農業のやり方」となる。世界的に普及が進んでいる「農業生産工程管理手法(GAP)」の日本版だ。
今回お話を伺ったのは、一般財団法人 日本GAP協会の荻野宏事務局長、そして特定非営利活動法人 アジアGAP総合研究所の武田泰明専務理事である。日本GAP協会はJGAPの制度づくり、アジアGAP総研はGAPの研修・指導・コンサルティングを行う組織である。JGAPとは何か。JGAPは流通業者にどのようなメリットがあるのかを尋ねた。

 

1. 安全な食品を提供するために

 

 「お客様に安全な食品を提供する」ということは、当たり前なようでいて非常に難しい。日本人は「国産の農産物は安全」と漠然と信じているが、果たして誰がそれを保証するのだろうか?

 

 「安全」であるための必要事項は幅広い。残留農薬の基準を順守しているか、ガラス等の異物混入がないか、放射能の数値はどうか…様々な「安全ではない」事項があり、1つでも欠ければ消費者の信頼は崩れ去る。更にこれらの「安全」のための事項1つ1つについて、様々な原因が存在する。農薬だけを見ても、2006年1月~2014年10月までの間に判明した残留農薬基準違反の原因は以下のように分類される。

 

・適用外使用(その作物での使用が許可されていない農薬の使用):17%
・周辺圃場または同一ハウス内隣接作物からのドリフト(飛散):12%
・使用基準違反(使用時期、時用法回数、使用方法):12%
・農薬散布機・タンク・ホースの洗浄不足、不洗浄:10%
・過去使用農薬の土壌残留:7%
・調査中/不明/その他:42%

日本GAP協会調査

 

 これらの原因を全てクリアしなければ、ほんとうに消費者に安全な食品を提供しているとは言えない。だが、流通業者や消費者が「生産者は上記の事項に全て配慮を行っている」ことを詳細に確認することは不可能である。

 

 そこで役立つのがJGAPだ。JGAPは安全性の高い農産物の生産に取り組む農場に与えられる認証である。JGAPでは農薬、肥料、水などの適切な管理手順が定められており、これを順守していると審査・認証機関により認証された農場のみがJGAP認証農場となることができる。JGAP認証の有効期間は2年間で、2年ごとに初回審査とほぼ同内容の更新審査を受ける必要がある。栽培の記録を適切に取ること、農薬使用量を最小限に留めること、農薬を適切に使用し、残留農薬の検査を行うこと、農産物を洗う水の水質検査を行うこと、土壌・肥料・水などの放射能を確認・管理することなど、チェック事項は仔細だ。

 

A. 農場運営と販売管理:27項目
 1. 農場運営
 2. 計画と記録
 3. 販売計画とトレーサビリティ
B. 食の安全:72項目
 4. 土・水・種苗の管理
 5. 肥料の管理
 6. 農薬の管理
 7. 収穫・運搬にかかわる衛生管理
 8. 農作物取扱い
C. 環境保全型農業:20項目
 9. 水の保全
 10. 土壌の保全
 11. 周辺地の配慮
 12. 廃棄物の適切な処理と削減
 13. エネルギーの節約
 14. 環境保全への意識と生物多様性への配慮
D. 労働安全:19項目
 15. 作業者の安全

表1:JGAP青果物2010の構成

 

 栽培から出荷まで、極めて幅広く詳細なチェック事項を持つことが分かる。
なおJGAPには青果物のほか、穀物、茶の認証がある。

 

 JGAP認証農場の農産物を流通業者が取り扱うメリットは、消費者に提供する食品の安全性を可能な限り高められる点にある。食品の安全に関するトラブルを防止するために、あるいは消費者の「本当に安全な食品なのか」という不安を払拭するために、JGAP認証農場の農産物の取扱いは非常に有効な選択肢であるといえよう。

 

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