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第11回

2015年4月16日

「国産オリーブオイル」が
転作作目として注目を集める

3.オリーブの欠点

 

 栽培の手間がかからず、販売価格も高く、おまけに丈夫。農業従事者の高齢化が進む中、オリーブは全国各地で「夢の転作作物」として導入されつつある。平成14年までオリーブの栽培面積は全国(ただしそのほとんどが香川県と岡山県)で50ha程度を維持していたが、平成15年度以降大幅に拡大。平成21年に100haを突破し、最新の平成23年統計では207haとなっている。

 

 

 こうした背景から奥田氏の事業への注目度は高く、小豆島以外でオリーブを栽培している珍しい農家として、新たな転作作物を求める各地の自治体関係者が視察に訪れているという。ではオリーブは「夢の転作作物」なのか。奥田氏はそれを否定する。「メインの作物とするには実がつくまで時間がかかりすぎるし、オリーブの実の加工だけで経済的に収支を合わせるためには、かなり大規模で行わないと難しい」と言うのだ。

 

 奥田氏のオリーブ栽培は今年で6年目となる。初年に成木200本、苗550本を植えたが、苗が実をつけるには時間がかかり、また成木を植えたからといって即座に実がつき始めるわけでもない。

 

 2013年の収量は250kg、2014年の収量は1tと上り坂ではあるが、農業収支は未だマイナスであり、「caffe' oliva」と前職の蓄えが奥田氏の生計を支えている状態だ。

 

 統計もこれを裏付ける。表1にある通り、オリーブの栽培面積は平成15年度から急速に増加したが、収穫量は平成8年から増加し、平成15年時点ではほぼ現在の水準と同等となっている。栽培面積の増加と無関係に収穫量が増加しているということは、ここ20年あまりの収穫量増加の主要因は栽培面積よりも既存生産者の努力によるところが大きいということになる。長期的傾向としては出荷量は拡大しているが、植えれば急に増える、という性質の作物ではないことが分かる。

 

 もう1つの問題は価格である。他の農産物の例に漏れず国産のオリーブオイルは輸入品に比べかなりの高額となってしまう。「今後10〜20年程度は『国産』という希少性だけで十分な付加価値となり、消費者に受け入れてもらえるでしょう。問題はその後です。安くて質の良い輸入オリーブオイルも増えていますから、国産というだけで消費者にどこまで受け入れられるかは未知数です。」奥田氏は価格面の厳しさを挙げ、将来を必ずしも楽観視していない。

 

 また、前回取材した日本オリーブオイル協会理事長の多田俊哉氏は国内のオリーブオイル事情について「近年国内のオリーブ栽培面積は急激に広がってはいますが、経済性を考慮して植えられているのか疑問に思っています。物珍しい作物として生産性を度外視して植えられているようにも見えます」と話している。

 

4.和製オリーブの未来

 

 オリーブが「夢の転作作物」ではない事は先述のとおりだが、一方で我々はまだオリーブの全てを利用できているわけではない。オリーブオイルに様々な健康増進効果があることはすでに常識となりつつあるが、オリーブの葉にも同様の効果があるというのだ。「オリーブの葉には豊富なポリフェノールが含まれており、その中の1つ『オレウロペイン』は強い抗酸化作用と血圧を下げる効果を持っています」と奥田氏は語る。「caffe' oliva」ではオリーブの葉を40ミクロンの粉末にしてねりこんだケーキ等を提供しているほか、近所のホテルのエステコーナーにもオリーブ葉粉末入り食品の販売を委託している。豊富なポリフェノールゆえに「お通じが良くなる」と目下の評判だ。葉であればまだ実を付けない樹からも収穫できるので、本格的な実の収穫が始まるまでの経済的負担を減らすこともできるだろう。

 

 最後に、奥田氏に国産オリーブオイルの今後の展望を訊いてみた。

 

 「日本におけるオリーブオイルの需要は確実に増加しています。しかし現在オリーブオイルの自給率は0.1%以下。小豆島のオリーブオイルはほとんどネット販売と島周辺で消費されており、『国産オリーブオイル』という市場は空白です。

 

 浜名湖周辺は水はけが良い上に日照時間が長く、オリーブの栽培に適しています。すでに近くの農家2件がアグリ浜名湖の提携農園となり、オリーブの作付を始めました。ゆくゆくは『浜名湖オリーブ』を1つのブランドにしたいですね」

 

 国産オリーブオイルはほぼ未開拓の市場であり、拡大の兆しこそ見せているものの、どの程度の広まりを見せるのかは全くの未知数といえる。国産オリーブが日本の大地にしっかりと根を張り定着するのか、それとも単なる「物珍しい作物」に終わるのか、今後の展開を注視したい。

 

 

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