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第11回

2015年4月16日

「国産オリーブオイル」が
転作作目として注目を集める

国産オリーブオイルは定着するか?

 

 引き続き今回のテーマもオリーブオイル。ただし今回取り上げるのは国産オリーブオイルである。国内でオリーブといえば小豆島が有名だが、現在オリーブが転作作物の1つとして静かな注目を集めている。
 

 静岡県湖西市、浜名湖畔に建つ喫茶店「Caffe' Oliva(カフェ オリーバ)」。オリーブの葉を用いた紅茶と自家製オリーブオイルが評判の店で、店名“Oliva”もイタリア語でオリーブを表している。湖水を見下ろす二階席でオリーブの葉入り紅茶を飲んでいると、オリーブ色の瞳をしたヒゲの男性が現れた。この店のオーナーにして今回の取材相手、奥田孝浩氏である。彼の名刺にはオリーブの実の図案とともに「株式会社アグリ浜名湖代表取締役」の文字が記されている。アグリとはagriculture(農業)の略。彼はオリーブを提供する喫茶店の主人であると同時に、オリーブを栽培する農家でもある。
 

 写真1,2:Caffe’ Olivaと奥田氏

1. オリーブとの邂逅

 

 もともとコンタクトレンズ・眼鏡販売企業の役員だった奥田氏は、PB商品の製造を委託していたイタリアの眼鏡工場に社員研修のために行く機会が多く、本場のオリーブオイル栽培をしばしば目にしていた。

 

 2009年、彼の人生に転機が訪れる。自らの所属していた会社が友好的TOBにより吸収合併され、役員である奥田氏は悠々自適の身となった。まだ50代前半、引退生活を送るには早いと考えた奥田氏は、以前より関心のあった農業人としての生活に身を投じる選択をする。折よく農地法改正により株式会社が農地を借りる事が可能になったため、奥田氏は株式会社アグリ浜名湖を設立。故郷・静岡県湖西市に1.2haの農地を借りてオリーブの栽培を開始し、同時に畑近くの空き店舗を借りて喫茶店「caffe' oliva(カフェ オリーバ)」を開店した。

 

 店内には本場イタリアのオリーブオイル、あるいはイタリアの雑貨などがところ狭しと並び、メニューのいたるところに「オリーブ」の文字がある。自家製のオリーブオイルも発売したが、すぐに完売してしまったため今年の収穫待ちだ。自らオリーブを育て、オリーブを絞り、オリーブを売る。オリーブオイルの魅力にとりつかれた奥田氏に、国産オリーブオイルの今と未来を尋ねてみた。

 

2. オリーブとはいかなる作物か
 

 浜名湖周辺は元々「三ヶ日みかん」等で知られるみかんの名産地である。奥田氏の生まれ育った家もみかん農家であった。みかんとオリーブを比較すると、オリーブが作物として非常に優秀である事が見えてくる。

 

 奥田氏は小豆島のオリーブオイルメーカーの社員から「オリーブはみかんの1/4の労力で4倍のキロ単価が得られる」と聞いたという。ハサミを使って一つ一つ丁寧に収穫する必要があるみかんに対し、オイル用のオリーブの実は手摘みまたは熊手等の器具でネットにかき落とせばよい。オリーブは収穫から最長でも24時間以内に加工してオイルを搾り取る必要があるが、裏を返せば収穫後早々に安定したオリーブオイルの状態にできるため、冷蔵保存などの必要がない。生食しないため実の表面に多少の傷がついても商品価値が落ちず、その分農薬散布量も減らせる。樹の寿命が長く、数百年にわたって収穫でき、資産価値は年を追うごとに増してゆく。あくまでもミカンとの比較であるが、オリーブは様々な面で手間の掛からない作物と言える。

 

 奥田氏がオリーブの栽培を始めるに当たり特に産地で訓練を受けていないことも、オリーブの手間が少ないことの証左となるだろう。幸運にも小豆島のメーカーの社員と知り合いになり、色々と相談に乗ってもらった事は大きな力となったが、基本はインターネットとハウツー本で勉強したとのことである。

 

 写真3,4 Agri浜名湖のオリーブ園

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