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2015年3月20日

特別編【第2回】 1年後からの未来<2015>
被災地から発信する未来の指針
ウジエスーパー 取締役 吉田芳弘 氏

イメージ戦略や、知名度を高めるために社会活動や環境活動する時代は終わった

 

 私たちの活動に興味を持っていただいた「低炭素杯2014」の事務局から話をいただいたのは2013年のことだ。

 

 もともと、低炭素社会のための取り組みとして始めた活動ではなかったが、この活動そのものが、ウジエグループだけでなく、地域の企業、学校、バスケットチームを巻き込んだ地域活動に広がっている。

 

 地域にはぐくんでいただいた地域ためのブランドとして、一つの勲章になるのではないかと考え、応募することにしたものだ。

 

 結果的に、ファイナルに残ることができ、2014年2月、私たちは、東京で行われるプレゼンテーションに参加した。

 

 当日は、一緒に無限を開発し、その後の環境活動も一緒にがんばってきたウジエクリーンサービスの仲間5人と、壇上で精いっぱいのプレゼンをした。

 

 初めての参加だったので、私たちの思いがどこまで届くかわからなかったが、思いもかけず最高賞の環境大臣賞グランプリをいただくことができた。

 

 農業への活用だけではなく、地域の雇用創出への取り組みなども含めて評価をいただいたものだ。

 

 低炭素杯は、その性格から、地方自治体や公益財団、NPO法人やボランティア組織、学校など非営利団体の参加が多く、いち企業の取り組みでグランプリを獲得したのは、過去5回の歴史の中で我々が最初であった。

 

 

 思いもかけず獲得したグランプリ。トロフィーの重さを手に感じたとき、私は、「ステージが変わった」と強く感じた。

 

 それまで、社会活動や環境活動は、企業にとって義務的な活動であったように思う。

 

 戦後の高度成長期の公害問題から端を発し、森林破壊や酸性雨など、企業の行き過ぎた営利主義に対する批判が高まったことが背景にある。

 

 ありていに言ってしまえば、批判をかわすため、あるいは、企業イメージを高めるための投資としてこれらの活動を捉えていたとは言えないだろうか。

 

 もうそういう時代ではなくなった。

 

 あの震災の地獄の中で感じた確かなこと、地域社会の人々との絆だった。

 

 我々は食品スーパーで、日頃はお客様に食品を売って経営を成り立たせている。ということは、自分たちが食べていく手段として、商売をしているのだろうか。そうではないはずだ。

 

 食は人間にとってなくてはならないものである。地域の人たちが生活し、日常をはぐくみ、地域を作っていくための食を預かる大切な役割を私たちは追っている。

 

 それはすでに、ビジネスを超えた使命の領域ではないだろうか。

 

 安くておいしい食品を売ることは、誰にでもできる。むしろ、そういうことなら、大きな資本を持った企業のほうが得意な面もあるだろう。地域で商売をさせていただいている私たちのような地場の産業は、同じステージにいてはいけない。

 

 企業が、単なるイメージ戦略や、まして、知名度を高めるために社会活動や環境活動をするのではなく、企業のあり方そのものが問われる時代になりつつあるのではないか。

 

 それが「ステージが変わった」という意味である。

 

 そのとき、私の脳裏にふと浮かんだフレーズが「そして、ソーシャルへ」だった。

 

 もっと地域に、もっと社会に、もっと深く、もっと広く、もっと絆を深め、単なる事業活動の域を超えて、使命としての領域に踏み込み、地域の人々とともに歩み、文化を育んでいく気概と覚悟を持つべきときに来ているのではないだろうか。

 

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