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第1443回

2014年6月11日

ファンケルのスピード経営

千田 直哉

 ファンケル(神奈川県/宮島和美社長)のリストラ(事業の再構築)が軌道に乗り始めた。2014年3月期(連結)の業績は、売上高811億1800万円(対前期比2.0%減)、営業利益39億4300万円(同2.2%増)、経常利益42億6200万円(同3.7%増)、当期純利益13億4300万円(黒字転換)だった。

 

 起爆剤になったのは、2013年1月、創業者の池森賢二氏(現:会長)が経営者として約10年ぶりに現場復帰を果たしたことである。

 「2012年に社運を賭けて、化粧品をリニューアルした。かなりの年月と費用をかけてリブランドを実施したものの、まったく伸びなかった。そんなことにもどかしさを感じて復帰したのだと思う」(宮島社長)。

 

 昭和12年(1937年)生まれの池森会長は当時75歳。復帰期間を自ら3年と決めた。

 なぜ、3年間かといえば、「一般的な社員は入社から定年まで30年ほど勤める。30年間でやることを自分は3年間でやる」。そのスピード感に対する決意の現れだった。

 

 池森会長は、矢継ぎ早に手を打った。

 

 1つ目は、創業者でなければなかなか手をつけられない不採算事業からの撤退だ。

 エステ事業、不採算店舗、台湾・シンガポールの小型店から速やかに撤退すると年間6億円の収支改善効果をもたらした。

 

 2つ目は、人材育成だ。店舗スタッフへの研修を延べ2443人(対前年比4倍)に実施するとともに、新たな機関としてファンケル大学を設立した。目的は、専門資格を有する社員を増やすことにある。現在、主な有資格者は、栄養士60人、栄養管理士60人、薬剤師20人、内外美容アドバイザー80人、健康カウンセラー20人となっている。

 

 また、2003年3月に開業したままだった「ファンケル 銀座スクエア」(東京都中央区銀座5-8-16)を2013年10月20日リニューアルした。コンセプト・アイデアはすべて社員が考案。開業後の売上高は対前期比50%増、客数は同100%増になった。

 その中でファンケル化粧品の国内売上高はメキメキと回復し、第3四半期は同6.2%増、第4四半期は同21.2%増という数字を残した。

 

 さらには、「ビューティハウス」「ヘルスハウス」、両機能を併設する「ハイブリッドショップ」など新業態を続々と開発している。

 

 それだけではない。同社は、2015年3月期から流通分野への積極的な進出に乗り出した。

 ビューティ事業では、4月1日からローソン(東京都/玉塚元一社長)で無添加化粧品5アイテムを新発売。また大手ドラッグストア約5800店舗で「マイルドクレンジングオイル」「洗顔パウダー」の展開を開始している。

 ヘルス事業では、「15日容量」で値ごろ感を持たせた「ベーシックサプリ」の販売を開始。また、流通専用製品の開発を急ぐ。サッポロドラッグストアー(北海道/富山睦浩社長)、やまや(宮城県/山内英靖社長)、ディノス・セシール(東京都/石川順一社長)との取引も始まっている。

 

「すべての分野でイノベーションを起こす」「ベンチャー精神、チャレンジ精神をもう一度ファンケルの企業文化にする」をモットーにファンケルは「次の10年」に向けた布石を打ち始めた。
 

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