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2014年5月15日

食品購入先選択理由からみる
スーパーマーケットの競争優位性

Chain Store Age

文=長瀬直人 新日本スーパーマーケット協会 統計調査担当

 

 今から34年前、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が著書『競争の戦略』でポジショニング理論を提唱した。業界内で競争優位性のあるポジションを獲得することで業績を向上させようとする戦略論である。

 

 食品スーパー(SM)業界内での競争優位性獲得に向けた企業努力は、長年、厳しい競争環境のなかで続けられてきた。その結果、企業側からみれば好ましくないかもしれないが、消費者は店舗ごとに特徴を認識し、1店舗ではなく複数店舗、また目的に応じて利用頻度を変えてSMを利用するようになった(図表(1))。

 

 

 これまで、SM業界では商品やサービスの同質化が進み、競争優位性のあるポジションを探し出すことは容易なことではなかった。食品が持つ特異性(たとえば機械のように性能が数値で比較しづらい)も差別化をさらに困難なものにしていた。これはSM業界で「価格」による優位性が強調されてきた要因でもある。

 

 近年、各業態で食品販売強化の動きが加速しており、消費者の食品購入先も多様化している(図表(2))。これまで小売業は取扱商品によって区分されてきたが、こと食品に関しては業態の垣根を超えた競争が行われているのが現状である。では、それらの業態を広義に「食品販売業」ととらえた場合、競争優位はどこにあるのだろうか?

 

図表(3)の赤枠部分は、食品購入先の選択理由として挙げられた割合が30%以上のものである。食品販売業としての優位性がとくに高い項目であり、各業態の特徴が明確となっている。

 

出典:新日本スーパーマーケット協会「消費者アンケート2013」 調査概要:2013年11月にインテージ消費者モニター、20~69歳男女2,500人を対象に実施したインターネット調査。詳細な結果は『スーパーマーケット白書2014』に掲載

 

 SMはほかの業態と比べて傾向が異なるのがわかるだろう。「自宅に近い」「価格」「生鮮品の鮮度」などの特徴が評価されているが、上位回答の割合がすべて30%以上であり、万能性の高い購入先と消費者にはとらえられている。反面、ほかの業態の上位理由と重複しているものも多いことから、競争にさらされやすいという側面もある。

 

 さまざまな業態の食品販売強化の動きにより、結果として販売方法の特徴が再整理されたことで、消費者は目的に応じて食品購入先の使い分けを行っているとみられる。

 

 SMにおいては、たとえば「万能性」はSM独自の優位性であるが、あらためて消費者にその特徴を認識してもらうことが必要となる。また、消費者の業態の使い分けは、SMにおいて差別化が難しかった販売方法や独自商品の特徴を訴求しやすくなる環境変化であり、今後、意識的にそれらをアピールすることも集客に有効な手段となる。

 

 戦略論としては過去のものとなったポジショニング理論だが、食品をめぐる食品販売業の選択理由と競争優位性の概念から、SMの強みについて整理できることも多い。

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